レーマン方式とは?中小企業M&Aの仲介手数料で確認すべきポイント

M&Aの仲介手数料を確認するとき、最初につまずきやすいのが「レーマン方式」です。

レーマン方式とは、譲渡額などの基準額を段階に分け、金額帯ごとに異なる料率をかけて成功報酬を計算する方法です。ただし、実務で大切なのは料率表そのものよりも、何を基準額にするのか、最低手数料がいくらか、着手金や中間金が別に発生するのかを契約前に確認することです。

この記事では、中小企業の経営者がM&Aの相談を受ける前に押さえておきたい、レーマン方式の基本、計算例、仲介会社とFAの違い、契約前の確認ポイントを整理します。

━━ この記事の著者 ━━

島田慶資(しまだ けいすけ)|ハンズバリュー株式会社 代表取締役。東北6県の温泉旅館を中心に、経営改善・事業再生のコンサルティングを10年以上実施。支援案件は延べ1万件超、補助金等の累計調達支援額は500億円。認定経営革新等支援機関。東日本大震災、令和元年台風、福島県沖地震などの復旧・再建局面でも、事業者の生活と事業継続を守る支援に取り組む。事業再構築補助金・中小企業成長加速化補助金の採択支援実績あり。

この記事の結論

レーマン方式は、M&A手数料の計算方法の一つにすぎません。中小企業の経営者は、料率だけで判断せず、対象額、最低手数料、支払時期、仲介かFAか、セカンドオピニオンの取りやすさまで確認してから契約することが大切です。

レーマン方式とは何か

レーマン方式とは、M&Aの成功報酬を計算するときに使われる段階料率の考え方です。たとえば、基準額のうち一定金額までは5%、次の金額帯は4%、さらに上の金額帯は3%というように、金額帯ごとに料率を分けて計算します。

ここで注意したいのは、レーマン方式という言葉だけでは手数料総額は決まらないことです。譲渡対価に料率をかけるのか、移動総資産に料率をかけるのか、企業価値に料率をかけるのかで、同じ料率表でも金額が大きく変わります。

経営者が見るべきポイント

「何%か」だけでなく、「何に対して%をかけるのか」を確認してください。ここが曖昧なまま契約すると、想定より高い手数料になることがあります。

レーマン方式の計算例

以下は、成功報酬だけを単純化した計算例です。実際の契約では、最低手数料、着手金、中間金、月額報酬、消費税などが加わる場合があります。

基準額の区分 料率例 確認事項
5億円以下の部分 5% 中小M&Aではこの区分だけで計算が終わることも多い
5億円超10億円以下の部分 4% 超えた部分だけに4%をかける
10億円超50億円以下の部分 3% 全額に3%をかけるわけではない

たとえば基準額が8億円で、上記の料率例を使う場合は、5億円までの部分が2,500万円、5億円を超える3億円部分が1,200万円となり、成功報酬は税抜3,700万円です。

最低手数料と対象額を確認する

中小企業のM&Aでは、レーマン方式で計算した金額よりも、最低手数料のほうが実務上の負担になることがあります。小規模な譲渡では、料率表だけを見ても実際の支払額が分かりません。

対象額

譲渡対価、移動総資産、企業価値など、何を基準に計算するのか。

最低手数料

レーマン方式の計算額が少なくても、最低いくら支払う必要があるのか。

支払時期

着手時、基本合意時、成約時など、いつ資金が出ていくのか。

デュー・デリジェンスとセカンドオピニオン

デュー・デリジェンス、いわゆるDDは、買い手が売り手企業の財務、税務、法務、労務、事業、資産などを確認する調査です。調査範囲や費用負担は案件によって異なるため、誰がどこまで負担するのかを早い段階で確認します。

また、M&Aは契約条件が複雑になりやすい取引です。手数料、株価、表明保証、退職金、連帯保証、従業員の処遇などに不安がある場合は、契約当事者から距離のある専門家にセカンドオピニオンを求めることも選択肢になります。

M&A仲介会社とFAの違い

M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に入り、双方の合意形成を支援します。一方、FA、つまりファイナンシャル・アドバイザーは、売り手または買い手のどちらか一方の立場に立って助言する役割です。

どちらが常に良いという話ではありません。大切なのは、誰の立場で助言しているのか、利益相反をどう説明しているのか、契約書にどのような義務と報酬が書かれているのかを経営者自身が理解することです。

契約前の確認チェックリスト

  • 成功報酬の基準額は、譲渡対価か、移動総資産か、企業価値か。
  • 最低手数料はいくらか。消費税を含めると実際の支払額はいくらか。
  • 着手金、中間金、月額報酬、実費精算はあるか。
  • 専任契約か。途中解約時の費用や制限はあるか。
  • 売り手と買い手の双方から報酬を受け取る契約か。
  • セカンドオピニオンを受けることに制限はないか。
  • 連帯保証、従業員処遇、取引先への説明、退任時期など、手数料以外の重要条件も整理されているか。

出典・確認資料

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」およびM&A支援機関登録制度の公表資料を確認したうえで、経営者向けに実務上の確認点として整理しています。最終確認日: 2026年5月30日。

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