皆様、こんにちは! ハンズバリュー株式会社の島田です。
※社内で回覧していただいているお客さまがいらっしゃいました。ありがとうございます!!
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変革者の円卓会議で一緒に勉強しましょう。
次回:9月19日(土)10:00〜12:00 生成AI × 経営実践(Zoom)
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[ 独り言コーナー ]
❶ 8月6日(木)、山形県中小企業家同友会の「経営指針を作る会」で、経営方針の講師を務めます。指針づくりのなかでも、方針の決定は要になるところです。たとえば、いま底力を問われている局面にある会社であれば、社員教育やDXへの投資は当然ながら後回しになります。逆に、成熟した会社には成熟した会社の方針がある。こうして文章にしてしまえば当たり前のことなのですが、クロスSWOTで分析しても、なぜかこの結論は出てこないんですよね。
❷ 坊やが中学生になるまでは、髪を死守しようと考えております。そのため、ときどき自分の頭のボリュームを確認する写真を撮っております。グーグルフォトで10年分を並べて眺めてみますと、薄くなったり、回復したり。その繰り返しで今日に至っておりました。努力は可能性を残す。そういうことなのかもしれません。
❸ 土日に雨が集中したので、坊やと近所のイオンに遊びに行きました。レゴで遊べるコーナーがあり、スポーツカーづくりに没頭しておりました。好きなことには、これほど集中力が発揮されるものかと。学びですね。
[ 島田の気になるニュース ]
❶ IT・Web業界の倒産が5年連続で増加 上半期166件で過去最多、背景に「価格競争」の限界【TSR調べ】
経営環境は、やはり厳しい。IT関連では小規模事業者の退場が過去最多を更新しました。一方で、温泉旅館や製造業、運輸はひととおり一巡したという報道も出ています。小規模の淘汰が終わったあとに来るのは、中規模・中堅どころの倒産ではないか。そうなると、これからは「件数」ではなく「規模」の大きな倒産が目立つようになるのかもしれません。
❷ 倉庫の中をロボットが動くのではなく、倉庫そのものがロボットになる(フランスの事例)
SNSのX(旧ツイッター)で見かけた投稿です。ロボットが倉庫の中を動き回るのではなく、倉庫全体がひとつのロボットになっている。人間が中に入らない前提で設計すると、通路も照明も、あらゆる制約が根本から変わってきます。近未来的な映像ですが、一見の価値ありです。
❸ 宿泊業におけるIT活用を通じた生産性向上・経営高度化の実態把握に係る調査事業(観光庁 令和7年度)
中身はバックオフィス(会計・顧客管理)と集客(SNS・OTA)に関するものがほとんどで、現場の困りごとが透けて見えてきます。宿泊業に限らず通じる話が多いので、他業種の方にも参考になるかと思います。
常識:赤字部門を切れば、会社の利益は増える
逆転:300万円の赤字を消すために、400万円の利益を捨てる。それが「赤字部門を切る」の正体
島田慶資の逆転思考
— 不利な条件を武器に変えた経営者の物語
皆さんこんにちは。変革者作家の島田慶資です。
「逆転思考」のお時間です。
今回のテーマは、部門別の赤字です。
「卸の利益で、チャーシューの赤字を埋めてやってるんだ」
信用保証協会から専門家派遣の要請をいただいて伺った、ある会社の話です。
本業は食肉の卸。あわせて自社の加工場を持ち、チャーシューを製造しています。
その会社で、卸部門の社員からこんな声が上がったというのです。
俺たちは頑張って利益を出しているのに、チャーシューはずっと赤字だ。俺たちの稼ぎが、赤字の穴埋めに回っている——。
口にしたのは一人でも、同じ不満を抱えている社員は他にもいるかもしれない。
社長は、そう感じていました。
「数字を見れば、社員の言う通りなんです。チャーシューは赤字ですから。損益だけで見るのか、会社の役割で見るのか……正直、私も答えを持てずにいます」
社長の中にある答えは、もう決まっていました。「赤字部門は縮小か撤退」。
社員の声もそれを後押ししている。
普通ならここで、製造をやめる検討が始まります。
僕には、答えのおおよその見当はついていました。
ただ、答えを先に申し上げてしまうと、ほとんどの場合うまくいきません。ですから僕は、やめるべきか否かではなく、その手前にある問いを、順番に置いていきました。
転換点1 — 「その赤字は、どの赤字ですか?」
最初の問いは、数字のつくり方についてでした。
「チャーシューが赤字、という数字なんですが——本社の家賃や間接部門の給料を、加工部門に割り振った後の赤字ですか? それとも割り振る前から赤字ですか?」
社長は、少し止まってから仰いました。
「……考えたこともありませんでした。会計事務所の職員さんがつくってくださった表を、そのまま社員に見せていました」
ここが、すべての出発点でした。
その場で、数字を並べ直してみました。
・売上 5,000万円 − 材料(豚肉ほか)3,000万円 − 加工場の人件費・経費 1,600万円
→ チャーシューが自力で稼いだ利益(貢献利益)= プラス400万円
・そこへ本社費の按分 700万円 を乗せる
→ 社員が見ていた数字= マイナス300万円
チャーシューは、自力では400万円を稼いでいました。そこに本社の家賃と間接部門の給料が700万円乗せられて、赤字に「なった」のです。
誤解のないように申し上げます。会計事務所の表が間違っているわけではありません。あれは、かかった費用を漏れなくすべての部門に配る、という考え方で作られた表です。実績を記録するものとしては、正しい。
ただ、同じ「部門別の損益」でも、実績を記録するための数字と、その部門を続けるかやめるかを判断するための数字は、作り方が違います。前者を後者に使うと、判断を誤ります。
そして、記録のための表をそのまま社員に見せた瞬間、それは経営の判断材料ではなく、社員が仲間を責める材料に変わります。
「チャーシューは赤字」という数字は、計算のつくり方が生み出していたのです。
転換点2 — 「チャーシューのお客様から、卸の注文は来ていませんか?」
次に、お客様の流れを伺いました。
「チャーシューを納めているお客様から、精肉のご注文につながったことは?」
「あります。うちのチャーシューを使ってくださっているお店から、他の部位も頼まれるようになる。実際にあるんです」
つまり加工部門は、単体の製造業ではありませんでした。卸の取引の入口でもあった。営業が新規で開拓してくる取引と、自社のチャーシューを気に入ってくださった店から自然に広がる取引。どちらの受注コストが低いかは、言うまでもありません。
この受注の価値は、加工部門の損益計算書には一円も載りません。載らないまま、卸部門の売上として計上され、「卸は稼いでいる・チャーシューは稼いでいない」という構図を強化していたのです。
加工部門の成績表に、加工部門の一番の仕事が書かれていなかった。
転換点3 — 「チャーシューをやめたら、その費用は誰が払うんですか?」
議論の終盤、僕は最後の問いを置きました。
「仮に製造をやめたとします。本社の家賃、間接部門の給料——加工部門が按分で背負っていた分は、どこへ行きますか?」
しばらくの沈黙のあと、社長が仰いました。
「……卸に、全部乗るんですね」
そうなのです。按分されていた700万円は、加工部門をやめても消えません。卸部門がそっくり背負い直すだけです。そのうえ、チャーシューが自力で稼いでいた400万円は、本当に消えます。
300万円の赤字を消すために、400万円の利益を捨てる。
これが「赤字部門を切れば儲かる」の正体です。按分後の数字だけを見た人が落ちる、古典的な罠。切ってよいのは「貢献利益ベースで赤字」の部門だけです。それも、雇用や設備の後始末まで設計した上での話。
翌月から始まった見直し
社長は、その場でこう仰いました。
「従業員に見せている数字を、一度見直します」
そして翌月から、動き始めたことが三つあります。
第一に、部門の数字を「貢献利益」で作り直す。
会計事務所の職員さんからいただいた様式を、初めてゼロから見直します。悪いのは様式ではなく、それを疑わずに社員に見せ続けたこと——社長は、ご自分でそう仰いました。卸と加工、それぞれが自力でいくら稼いでいるのかを、按分と切り分けて見えるようにする。
第二に、加工部門の役割を数字の外で言葉にする。
卸の入口としての価値、自社の肉を誰よりも知っている部門としての価値。損益計算書に載らない仕事を、社員に見える形で示す。
第三に、加工部門自体も筋肉質にする。
品目を売れ筋に絞り、受注に合わせて仕込む形へ寄せて、在庫と廃棄を減らす。守ると決めたからこそ、甘やかさない。
不利だと思われていた「赤字のチャーシュー」は、「按分を除けば固定費の担い手」かもしれないという可能性に反転しました。
不満に見えていた「社員の声」は、「数字の見せ方を見直す最高のきっかけ」に反転しました。
正解に見えていた「撤退」は、「会社全体の赤字を広げかねない悪手」に反転しました。
この見直しは、まだ始まったばかりです。
皆さんへ
皆さんの会社にも、「あの部門は赤字だ」と社内で言われている部門はありませんか。
その赤字は、どの赤字でしょうか。按分の前ですか、後ですか。その表は、誰が、何のために作った表でしょうか。そしてその部門の成績表に、その部門の本当の仕事は載っていますか。
数字が社員の心を離れさせているとき、疑うべきは社員でも部門でもなく、数字のつくり方であることが、案外多いのです。
答えはいつも、経営者ご自身の中にあります。
僕たちは、その場所を、問いを通じて指さしているだけなのです。
次回も、現場で出会った「逆転」の事例をお届けします。
変革者作家・島田慶資
赤字部門を、やめるべきか・続けるべきか判断できない経営者の方へ
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