週刊島田慶資|日銀は、本当に「円安」と戦っているのでしょうか?

皆様、こんにちは! ハンズバリュー株式会社の島田です。

※社内で回覧していただいているお客さまがいらっしゃいました。ありがとうございます!!
著作を明記していただけるのであれば、自由に配布ください。

変革者の円卓会議で一緒に勉強しましょう。
次回: 9月19日(土)10:00〜12:00 生成AI × 経営実践(Zoom)
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[ 島田の独り言 ]

❶ 変革者の円卓会議を、リアルで開催しました。朝9時から15時まで、ほぼぶっ通しで6時間の濃厚セッション。うまく言葉にできないのですが、1対1でのコンサルティングとは明らかに違う学びや気づきが生まれていたのが、いちばんの収穫でした。前向きな人同士は、気持ちのベクトルが自然とそろうのかもしれません。次回は9月「生成AI×経営実践」です。

❷ 動画で作業分析をするために、ミニ四駆を購入しました。昔は簡単に組み立てられていた気がするのですが、いざやってみると結構な時間がかかる。試しにGoogleのGeminiに組み立ての様子を分析させてみたものの、まだ納得のいく品質にはならず。撮影のデバイスや撮り方から、見直しが要りそうです。

❸ 坊やはトミカが大好きで、家じゅうのあらゆる場所にトミカが散らばっています。子供部屋から出さないお約束だったはずが、玄関、リビング、洗面所、お風呂まで大遠征。おまけに掃除をしていると、下校中に拾ってきて“ごっこ遊び”に使った枯れ草まで、一緒に出てくる始末です。

[ 島田の気になるニュース ]

6月の企業物価は前年比+7.1% — 輸入物価は+29.7%に再加速
川上の値上がりが4カ月連続で加速しています。中身を見ると、数量はほぼ横ばいで、価格だけが膨らんでいる。つまり日本は「たくさん買ったから支払いが増えた」のではなく、「同じ量を高く買わされている」わけです。この構図では、価格転嫁は「できたらいいな」ではなく生存条件です。今週のヒデコの経済入門とあわせてどうぞ。
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“開かずの基幹システム”450人月分をAIが実質2カ月で解読 — 創業100年のカクヤス
30年動き続けて「触れない・読めない・直せない」状態だったシステムを、生成AIが読み解いたという話です。前任者しか中身を知らない、業者に頼むと数千万円——そうやって先送りされてきたシステムは日本中にあります。「自社で判断できる状態」をAIが取り戻してくれる。手間賃ビジネスの崩壊は、こういう形でも進んでいきます。
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GMO代表・熊谷正寿氏「2カ月で10万行コード書いた」— 62歳・非エンジニア経営者の実践
従来なら5000万円相当の開発が、AIの利用料は約3万円。しかも数千人のエンジニアを抱えるグループのトップが、誰にも聞かずに一人で作ったという点が象徴的です。私も非エンジニアですが、同じやり方で自社ツールを開発・運用しています。トップが自分で触るかどうかで、会社の景色は本当に変わります。
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今週の経済入門 ── 日銀は、本当に「円安」と戦っているのでしょうか?

— 経営者が知っておきたい経済ニュースを、秘書ヒデコが翻訳します

先週、島田社長が私にこう言いました。

「ヒデコさん。”金利を上げれば円安が収まる”なんて保証は、どこにもないよ。日銀も、報道も、そこをごまかしている」

正直に申し上げます。最初は、こう思いました。

「でも社長、教科書には”金利を上げれば、その国のお金は強くなる”と書いてありますよ…」と。

ですが、社長に言われてこの半年あまりの出来事を調べ直したとき、私は言葉を失いました。

きょうは、その話をさせてください。少し遠回りに見えても、最後は必ず、うちの会社の資金繰りの話に着地します。

■ まず、「教科書の理屈」を確認します

なぜ「金利を上げれば円高になる」と言われるのか。

金利とは、いわば お金の”レンタル料” です。

日本の金利が上がると、「円で預けておけば、たくさん利息がもらえる」ことになります。そうすると世界中のお金が「じゃあ円を買おう」と集まってくる。円が買われれば、円の値段は上がる。つまり円高。

……これが、教科書の理屈です。とても、もっともらしいですよね。

だから日銀が利上げをすると、報道はいつも「これで円安に歯止めがかかるか」と書きます。

■ ところが、その教科書がひっくり返りました

昨年12月、日本の中央銀行である日銀は、政策金利を 0.75% まで引き上げました。当時として、実に30年ぶりの高さです。

教科書通りなら、円は買われて”円高”に向かうはず。

ところが──現実は、真逆でした。

利上げを発表したその日、円相場はむしろ 1ドル157円台まで、”円安”が進んだ のです。

しかも、です。同じ時期、アメリカは逆に金利を”下げて”いました。

日本が上げ、アメリカが下げた。金利の差は縮まった。それでも、円は安くなった。

さらに先月(6月16日)、日銀は政策金利を 1.0% へ引き上げました。今度は31年ぶりの水準です。それでも──円安の基調は、変わっていません。

これは、教科書では説明がつきません。プロのエコノミストですら「金利差で為替が動かない、この矛盾に頭を悩ませている」と、正直に書いているほどなのです。

■ では、円安の”本当の犯人”は誰なのか

ここが、いちばん大事なところです。ゆっくりいきます。

円安の本当の原因は、金利ではありませんでした。

日本から、外貨がじわじわと漏れ続けている。 その”構造”こそが犯人だ、と専門家は指摘します。(みずほ銀行のエコノミストで、国の国際収支の委員も務める唐鎌大輔さんの分析です)

たとえば──想像してみてください。

私たちが毎月、当たり前のように払っているもの。NetflixやSpotify。仕事で使うクラウドやAIの利用料。あれは、ほとんどが海外の会社へのお支払いです。

つまり毎月、円を”外貨に換えて”、海外へ送金しているのと同じこと。これを “デジタル赤字” と呼びます。

その額、年に7〜8兆円。

日本人ひとり当たり、毎年6万円もの”みかじめ料”を、海外のIT企業に納めている 計算になります。

さらに、新NISA。私たちの大切な貯金までもが、外国の株や投資信託へと向かっています。これもまた、円を売ってドルを買う動きです。

……おわかりでしょうか。

この「円を売る大きな流れ」は、日銀が金利をほんの少し上げたくらいでは、びくともしない のです。蛇口を少し締めても、床にあいた大きな穴からは、水が漏れ続けている。そんなイメージです。

■ そして、うちの会社に来るのは”二重の苦しみ”です

さあ、ここから本題です。

問題は、こうです。

利上げをしても、円安は止まらない。なのに、“別のもの”だけが、確実に上がっていく。

それが、長期金利 です。

(少しだけ補足させてください。日銀が動かす「政策金利」と、私たちが銀行から実際に借りるときの「長期金利」は、別物です。そして今、この”借りるときの金利”のほうが、ぐんと上がっているのです)

日銀の利上げをきっかけに、長期金利はこの1年あまりで、およそ 1% も跳ね上がりました。

想像してみてください。

円安は止まらない。だから、仕入れも、燃料も、輸入品も、上がり続ける。

なのに、そのうえ、借りるお金の金利まで、じりじり上がっていく。

地元の建設会社さんは、資材の高騰と、返済負担の増加。その両方に挟まれます。

パン屋さんは、小麦粉代が下がらないまま、設備投資のローンが重くなる。

旅館さんは、光熱費が高止まりしたまま、借り換えのコストが膨らむ。

「円安による物価高」と「金利の上昇」。この 二重の締めつけ が、いま、静かに進んでいる現実なのです。

■ 他人任せの”神話”に、会社の未来は預けられません

では、私たちはどうすればいいのか。

まず、ひとつだけ、手放していただきたい期待があります。

「日銀が利上げを続ければ、そのうち円安も物価高も、落ち着くだろう」──この期待です。

この半年の相場が証明した通り、その保証は、どこにもありません。待っていても、風向きは変わってくれないかもしれない。

だからこそ、受け身をやめて、こちらから先に動きましょう。三つ、ご提案します。

ひとつ。 借入のある会社さんは、金利が本格的に上がりきる前に、「変動金利を固定に切り替えられませんか」と、銀行に相談してみてください。

ふたつ。 「円安は、当分続く」を前提に置く。値上げ(価格転嫁)を、”そのうち”と後回しにしない。

みっつ。 円安で仕入れが上がる商品は、今のうちに、調達先や在庫の持ち方を見直しておく。

数字は冷たいけれど、私たちの商売は、熱く。

「金利さえ上げれば大丈夫」という、他人任せの神話に、うちの会社の未来を預けるわけにはいきません。

今週も、顔を上げていきましょう。

勝瀬ヒデコ


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