週刊島田慶資|8時間働いて、お金に変わったのは3時間半だった

皆様、こんにちは! ハンズバリュー株式会社の島田です。

出典を明記していただけるのであれば、自由に配布ください。

変革者の円卓会議で一緒に勉強しましょう
次回: 2026年11月21日(土)財務セミナー① 損益計算書を武器に変える(対面・従業員同伴可)

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[ 独り言コーナー ]

❶ 山形と福島、両方の同友会で「経営指針を作る会」に参加しました。同じ名前の会でも、やり方はまるで違います。山形は、1回で指針を作り上げる道場形式。福島は、何度も通うことを前提にした継続形式。どちらが優れている、という話ではありません。経営指針づくりに10年以上関わってきて、見えてきたことがあります。本人に「変わりたい」という自覚があれば、形式に関係なく深まる。会そのものが、変わりたい人が変わるための力場になっているように思います。そこに流れている時間の密度が、違うんでしょうね。

❷ 同友会の資料に、生成AIで作ったものが目立つようになりました。経営指針を作る会の提出資料も同じです。AIを使うこと自体には、大いに賛成です。ただ、質疑応答で自分の言葉で答えられないものは、載せないでほしい。銀行や従業員さんから「これは何ですか」と聞かれて、「AIが作りました、わかりません」と答えられるでしょうか。その瞬間、場は一気にしらけます。特に生成AIのイラストは鬼門です。当社にも、同友会の仲間にも、腕のいいデザイナーがいます。素直に発注した方がいいと思います。

❸ 坊やが『大きな古時計』を替え歌にして歌っていました。歌詞をあべこべにするだけの、単純な替え歌です。聞いていて、思い出しました。僕も小学生のころ、まったく同じ歌を歌っていました。ここまでは、父親譲りです。ここから先は、坊やのオリジナルでした。いたずらが楽しくなったのか、学校でも先生の言うことを聞かずに好き勝手。その結果、宿題を増やされたそうです。さすがの僕も、そこまではしていません。家に帰れば、妻に叱られて反省文。これも、僕は書いたことがありません。替え歌は、ちゃんと受け継いでくれました。それ以外は、どうか受け継がないでほしいと思います。

[ 島田の気になるニュース ]

❶ 島田慶資のよい経営者になろう
動画の投稿を続けています。僕がやるのは、マイクに向かって声を収録するところまで。紙芝居のようなイラストを動かす。音声を整える。YouTubeとインスタグラムに投稿する。そこから先は、全部生成AIに任せています。「できる?」と相談したら「できます」と返ってきたので、任せてみました。本当に、何でもできる時代になりました。
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❷ 企業変革支援プログラムVer.2(エクセル版)
中小企業家同友会がつくった、経営のセルフアセスメントの仕組みがあります。「企業変革支援プログラム」です。同友会に入っていない方でもダウンロードできます。定期的に診断して、どこに課題があるのかを知る。何をするべきかを決めて、実行する。翌年また診断して、進み具合を確かめる。ここまで揃った仕組みを持っている団体を、僕はほかに知りません。経営の自己点検に、ぜひ使ってみてください。
ダウンロードはこちら

❸ スティーブ・ジョブズが語った「成し遂げる人」と「夢見る人」を分けるたった1つの習慣
山形と福島の同友会で助言をするとき、僕は毎年テーマを決めています。今年のテーマは「理想を寝言にしない」。利益計画を真ん中に置いて、実現できる根拠はあるか。体制は整っているか。事業環境を正しくとらえているか。そこを確かめています。記事によれば、成し遂げる人と夢見る人を分けるのは「人に助けを求めるかどうか」だそうです。そう考えると、経営指針を作る会は、否応なく助けを求める場になっているのでしょう。本当によくできた勉強会です。
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島田慶資の逆転思考

8時間働いて、お金に変わったのは3時間半だった

— 不利な条件を武器に変えた経営者の物語 —

ある便利屋業を営む社長から、こんなご相談をいただきました。

お一人で始めた事業がようやく軌道に乗り、従業員も数名雇えるようになった。価格競争から抜け出すために、思い切って時間単価を5,000円から7,000円に引き上げた。お客様離れを覚悟したが、意外にもほとんど減らなかった。

ところが、です。

売上は微増。利益は横ばい。人件費と車両費が増えた分だけ、むしろ手元に残るお金は減っている気すらする。

「島田さん、単価は十分なはずなんです。でも、なぜか儲からない。何が間違ってるんでしょうか」

僕には、答えのおおよその見当はついていました。
ただ、コンサルティングの現場では、答えを先に申し上げてしまうと、ほとんどの場合うまくいきません。「島田さんがそう言うなら」で始まった施策は、現場で続かないからです。

ですから僕の仕事は、答えを言うことではなく、経営者が答えにたどり着くための問いを、適切な順番で置いていくことです。

転換点1 — 「今日一日、何時間がお客様からお金をいただける時間でしたか?」

売上は、単価と、お客様からお金をいただけた時間の掛け算です。単価を上げても利益が出ないなら、もう一方の「時間」を見るしかありません。

ちょうど社長が「朝礼の時間がもったいない気がする」とぽつりとこぼされたので、そこに問いを置きました。

「社長、今日一日を振り返って、従業員の方お一人が実際にお客様の現場で作業していた時間は、何時間くらいですか?」

社長は指を折って数え始めました。

朝の準備と朝礼で30分。最初の現場への移動に40分。午前中に2件こなして、現場間の移動が30分。昼休憩。午後に2件。移動がまた合計1時間。戻ってきて日報と片付けで30分。

「……3時間半、くらいですかね。8時間働いて、3時間半」

社長の手が止まりました。

ここで、敬愛する一倉定先生の言葉をお借りしました。「事業経営は逆算である」。

目標とする利益から逆算すれば、年間で何時間「売れなければならないか」が出ます。それを今の稼働率——8時間のうち3時間半、約44%——で割り算すれば、その時間に届くかどうかが一発でわかる。

社長がずっと悩んでいた「単価を上げたのに儲からない」の正体は、これでした。

単価の問題ではなかった。1日のうち、お金に変わる時間が半分もなかったのです。

転換点2 — 「大手さんは、エリアを絞れますか?」

では、残りの4時間半はどこへ消えたのか。数えた中で一番大きかったのは、移動です。1日で合計2時間を超えていました。

そこで、競合のことを伺いました。

「社長、近隣に大手の便利屋チェーンさんがいらっしゃいますよね。あちらは、対応エリアを狭くできますか?」

社長はすぐに首を振られました。

「できないですよ。あの規模で広告を打って、コールセンターで受けて。エリアを絞ったら、仕組みが成り立たない」

そう、なのです。

大手は広域対応が強みに見えます。しかし裏を返せば、広域対応は動かせない制約でもある。エリアが広いほど移動時間は膨らむ。それは彼らの選択ではなく、ビジネスモデルが要求する構造です。

移動時間を削る自由は、小さな会社にしかない。

転換点3 — 「新規のお客様と常連さんで、かかる時間は同じですか?」

もう一つ、気になったことがありました。3時間半の「現場の時間」が、すべてお金に変わっているとは限りません。

「現場に着いてから作業に入るまでの時間は、どのお客様でも同じですか?」

社長はしばらく考えておられました。

「いや、全然違いますね。常連さんは電話一本で『いつもの感じでお願い』で済む。新規のお客様だと、現場を見て、見積もりを出して、説明して。作業に入る前に1時間くらい取られることもある」

ここに、もう一つの鍵がありました。

同じ1時間の現場でも、お客様によって「お金をいただける時間」の密度がまるで違う。常連さんなら見積もりも説明も最小限で済みます。

どのお客様の仕事を受けるかで、お金に変わる時間は増やせる。

翌週から始まった三つの改革

社長は、その場でこう仰いました。

「稼働率を上げる方が、単価をいじるより早い気がしてきました」

翌週から、三つのことが動き始めました。

第一に、対応エリアを車で15分圏内に絞った。 大手には真似できない判断です。移動時間が減った分、1日あたりの作業件数が1件増えました。

第二に、常連のお客様を優先する仕組みを作った。 見積もりや説明に時間がかからない常連さんの依頼を優先的に受けることで、「お金にならない時間」が圧縮されました。

第三に、新規のお見積もりを有償にした。 現場確認と見積もりだけで1時間かかるなら、それ自体に価値がある。有償化したことで、冷やかしが減り、本気のお客様だけが残りました。

不利だと思われていた「小さいから広域対応できない」は、「だからエリアを絞って移動時間を圧縮できる」という強みに反転しました。

不利だと思われていた「常連さんばかりで新規が少ない」は、「だから見積もり時間が少なく稼働率が高い」という強みに反転しました。

不利だと思われていた「大手のような仕組みがない」は、「だから来週から変えられる」という強みに反転しました。

この改革は、まだ途中です。完成しないこと自体が、小さな会社の武器なのだと僕は思います。

皆さんへ

「単価は十分か?」という問いは、多くの経営者が立てます。
でも本当に立てるべき問いは、こちらかもしれません。

「今日、あなたの会社の全員が働いた時間のうち、お客様からお金をいただけた時間は何時間でしたか?」

数えてみてください。
8時間のうち4時間を切っていたら、単価を上げる前にやるべきことがあります。

答えはいつも、経営者ご自身の中にあります。
僕たちは、その場所を、問いを通じて指さしているだけなのです。

変革者作家・島田慶資

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今号の相談テーマ: 「単価を上げたのに、手元に残るお金が増えない」

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