皆様、こんにちは! ハンズバリュー株式会社の島田です。
メールマガジンの感想、お待ちしております! 「読んでるよ」と言っていただければ励みになります(^_^)
目次
独り言コーナー
❶最近、TikTokで紹介されていましたレシピに手を伸ばしました。僕の調理が悪かったのでしょうが大失敗しました。 キッコーマンや味の素などの調味料メーカーが提供しているレシピの方が、簡単&洗練されているように感じます😂
❷弊社では、島田語録を辞書として経営指針書に登録しております。最近、思いついた語録を共有させてください。
「言い訳」: 自分を正当化すること。誰からも評価されない。信頼を落とす。
「出世」: 部下やお客様をより幸せにするため、みんなのために自ら責任を増やすこと。自分のためではない。
❸山形同友会から中同協の勉強会に送り出していただきました。たくさん勉強して、同友会運動をより盛り上げたいと思います。 ただ、インフルエンザとコロナが蔓延している時勢です。警戒に警戒を重ねて出張しました。
❹同友会の労使見解と自分自身を見つめる数日間が連続しておりました。夢の中で、企業変革支援プログラムの検討を行いました。 まさか夢の中でも同友会の学びを深めることになるとは…。
❺坊やが”ごっこ”遊びに夢中です。現時点では、白バイ隊員さんになってみたいようで、トミカで警察と泥棒を演じています。 坊やの泥棒は“言うことを聞かないぞー”と言っており、彼の悪の概念が良くわかります😂
島田の気になるニュース
❶ユーチューブのショート動画からご紹介。人生の結果は運とのこと。 ただし、純粋なラッキーだけではなく、良い結果を作るためには行動回数が重要とのこと。興味深い研究ですね。
数学の面白い話「人生は運」(クリックすると動画の再生が始まります。)
❷政府がインバウンドを推している理由の一つとして、政府自身「もう日本はダメだから」とささやかれています。 GDPの計算式は「消費 + 投資 + 政府支出 +(輸出 – 輸入)」。少子化で個人消費が伸びない、高度成長はこないので投資もない。政府はそもそも支出する予定がない。 …となれば、GDPを伸ばすために輸出が注目されるわけです。外国人旅行者は輸出扱いですからね。島田は全く賛同できない考えです。
「第二のニセコ」はスキー客急増…訪日客は昨年最高3686万人、消費8.1兆円に
❸政府の税収は過去最高を更新しているようです。が、手前の経済はいかがなモノでしょうか。 国民民主党が主張する「取り過ぎている税金を廃止する」考えには大変賛同しております。
倒産件数が3年連続の大幅増、2025年に懸念される「新たな経営リスク」とは【専門家が解説】
❹価格転嫁を検討するためのツールが公開されたとのこと。ただ、価格はあくまで「お客様との力関係を数値化したモノ」です。 ツールで分析することも勿論大事でしょうが、交渉力を高める取組は欠かせないでしょう。お願いするようでは、手詰まり感がありませんか。
中小機構が「価格転嫁検討ツール」 損益計算書があれば作れる簡易版
❺温泉旅館・ホテルのコロナ禍のダメージは甚大。その出口戦略が検討されているようです。 おそらく405事業に類するスキームになろうかと考えておりますが…具体的な打ち手まで検討できるコンサルタントを選ぶことが重要であろうと考えます。
宿泊業の経営改善でモデル事業 コロナ禍から回復、指針策定へ 観光庁
【今週の経済入門】財政・税制深掘り月間「本当に『火の車』なの?日本財政の真実」
皆様こんにちは、ハンズバリュー株式会社の秘書・勝頼ヒデコです。 いつもメルマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。
先日は「税金は財源ではない?!」という記事で、税金と財政の根本的な仕組みについて解説いたしました。 今回はさらに踏み込んで、昨今話題となっている矢野元事務次官の「国庫は火の車」論について、私なりの意見を述べたいと思います。
後輩の『ハナコ』も「国の借金が大変なことになっているのはわかるけど、本当にそんなにヤバいの?」と心配していました。確かに、将来への不安は尽きません。ハナコにはいつも、「ニュースを鵜呑みにしないで、自分で考えることが大切なのよ」とアドバイスしています。
今回も、難しいテーマですが、一緒に考えてみましょうね、ハナコ!🧐 そして何より、短絡的な危機感に煽られるのではなく、本質を見極めることが重要です。
本日のテーマ『「国庫は火の車」論を検証する』
そこで本日は、矢野氏の主張の根幹である「日本財政は破綻寸前の危機的状況にある」という論点に絞って検証してみたいと思います。 はたして、本当に日本は「火の車」なのでしょうか?
矢野元事務次官は、山形県勢懇話会例会での講演で、「国庫は火の車」と発言し、日本の財政状況に強い警鐘を鳴らしました。その論拠として、歳出が税収と公債発行額を大幅に上回る状況が約50年続いていること、そして債務残高が急速に悪化していることを挙げています。
「国庫は火の車」元財務事務次官が講演 山形県勢懇話会例会 2025年1月18日 12:01
確かに、日本の公的債務残高は先進国の中でも突出して高く、財政赤字も深刻です。 この点については、私も懸念を認識しています。しかし、だからといって、直ちに「火の車」と結論付けるのは早計です。
ハナコも「でも、国債の金利は低いままですよね?」と鋭い指摘をしてくれました。 そうです、そこがポイントなのです!偉いぞ!🥰
「火の車」は誇張表現で、揺るがない日本国債の信認
なぜなら、矢野氏の主張には、日本経済に対する重要な視点が欠けているからです。 それは、日本国債への信認、言い換えれば、日本経済への信頼が揺らいでいないという厳然たる事実です。
日本国債の金利は、長期間にわたって極めて低い水準で推移しています。これは、国内外の投資家が日本国債を安全資産と見なし、積極的に購入していることを意味します。
仮に、日本財政が本当に破綻寸前であるならば、投資家はリスクを回避するために国債を売却し、金利は高騰するはずです。しかし、現実はそうなっていません。この低金利こそ、日本経済への信頼の証左なのです。
「投資家は馬鹿じゃないのよ」とハナコに言ったら「ヒデコ先輩、それは言い過ぎです!」と怒られちゃいました😂 たしかに、ちょっと言い過ぎましたね。ごめんなさい。
さらに、日本円は国際的に安定した通貨として評価されています。これもまた、日本経済に対する信認の表れであり、財政が破綻寸前であれば通貨価値は暴落するでしょう。
加えて、日本は世界でも有数の貯蓄大国であり、その豊富な国内資金が国債購入に充てられ、財政を下支えしています。これらの要素を総合的に考慮すれば、「火の車」という表現は、国民の不安を過度に煽る誇張された表現と言わざるを得ません。
成長戦略と社会保障の充実こそ重要
もちろん、財政規律の重要性は論を俟ちません。 無駄な歳出の削減や、効率的な財政運営は必要不可欠です。
しかし、それと同時に、経済成長なくして財政再建はあり得ないということも、また真実です。
矢野氏は、補助金などを「バラマキ」と批判し、高齢者への就労強制とも取れる主張を展開していますが、これらはむしろ経済成長の阻害要因になりかねません。景気後退期に政府が財政支出を拡大し、需要を喚起することは、ケインズ経済学の基本的な考え方であり、経済成長の原動力となり得ます。
事実、コロナ禍における大規模な財政出動は、未曾有の危機から国民生活と経済を守るために必要不可欠な措置でした。また、高齢者の就労促進は、健康問題や労働市場とのミスマッチ、介護問題など、多面的な課題をクリアしなければ実現は困難です。
ハナコにも「健康で長く働ける社会を作る方が先ですよね」と言われ、私も全く同感です。
むしろ、私たちが注力すべきは、目先の財政赤字削減ではなく、中長期的な視点に立った持続可能な経済成長戦略です。
具体的には、新産業の創出や生産性向上に繋がるイノベーションへの積極的な投資、女性の活躍推進による労働力不足の解消、そして持続可能な社会保障制度の構築などが挙げられます。これらを通じて経済が成長すれば、税収も増加し、結果として財政再建への道筋も開けてくるのです。
前回の「税金は財源ではない?!」の記事でも触れたように、国債発行による資金調達は経済成長と表裏一体の関係にあります。この点を理解せずして、真の財政再建は達成できないでしょう。
今後も皆様に有益な情報を提供できるよう努めてまいります。そして私たちのような現役世代にも、希望を持ってもらえるような未来を創っていきたいですね!
それでは、次回もお楽しみに! 今週もよろしくお願いいたします。
【“勘”頭言】福岡同友会の降籏美香社長の体験報告と討論会から学ぶ『社員の本音が会社を強くする方法』
皆様、こんにちは。 ハンズバリュー株式会社の変革者・作家、島田慶資です。
山形同友会の新春交流会にて、福岡同友会からお招きした有限会社Miyamaコーポレーションの降籏(ふるはた)美香社長による体験報告を拝聴いたしました。物流業という男性中心のイメージが強い業種にあって、多彩な人材―…とりわけ女性社員が安心して働ける職場づくりに取り組まれてきた報告は「社員の本音をどう受けとめるか」の重要性を再認識する機会となりました。
講演後は「社員さんの声を聴いて、どの様に経営に活かしていますか?」をテーマにグループ討論を行い、経営者・経営幹部・社員という多様な立場で活発に意見交換できました。
討論の内容と、学びとなった「社員が本音を語れる風土」の大切さについて共有させていただきます。
「社員の声」の自己評価で見えた“本音”の重要性
討論は「社員さんの声を聴けているのか?」との問題提起から始まりました。 グループ全員に100点満点で点数をつけていただき、その理由も伺ったところ、多くの経営者や経営幹部の方々が低い点数を挙げ、厳しい現実を突きつけられる結果となりました。
「形式的な面談では本音を聞き出せない」「若い世代が何を考えているのか分からず、どう寄り添えばいいか悩んでいる」といった切実な声が相次ぐ一方で、社員として参加された方々の評価が高かったことが印象的です。とある企業では、LINEグループを活用して日頃から意見交換を行い「情報共有がスピーディーで本音を言いやすい」という取り組みが紹介されました。
しかし同時に、「LINEで情報共有の枠組み自体は整えたが、実際にはあまり発言がない」「そもそもどんな言葉を掛ければよいか分からない」という意見もあり、単純にツールを導入するだけでは社員の声を十分に吸い上げられない現状も浮き彫りになりました。
そこで一同が着目したキーワードが「本音」です。
面談やチャットツールといった“形”をいくら整えても、社員の“本音”を引き出せなければ経営に活かしづらい。根本原因について討論を重ねた結果「方法論よりも経営者の“あり方”が重要ではないか」という到達点に至りました。
多様な従業員を受け入れるために、経営者がまず姿勢を正す
「経営者の“あり方”こそが大事だ」という結論に至ったものの、それを実際の経営の場面でどう活かせばよいのか。ここで討論は、「では具体的にどうすれば社員が安心して本音を語り、それを経営に反映させることができるのか」という論点へと進みました。
参加者同士で意見を交わすうちに、多くの方から「経営者がまず自らの姿勢を正すことが必要になる」という提案がなされ、その重要性を再認識できたように思います。
たとえば「社員から思わぬ不満や厳しい意見を聞かされても、逃げずに誠実に受けとめる覚悟が欠かせない」「“この人がどんな背景や価値観を持っているのか”に興味を持ち、じっくり聞く努力を続けるべきだ」といった言葉が、経営者・社員双方から多数挙がりました。
特に若い世代や女性社員、子育て中のスタッフなど、働く事情が多様化している昨今、「こういう条件で働く人がいるなんて想定外だ」という意識を経営者自身が持っている限り、本音での対話は望めません。むしろ「想定外」であればあるほど、“そんな人もいるのだ”と受け入れつつ、自分にない視点を教えてもらう姿勢こそが、より良い経営につながるのではないでしょうか。
このように、相手の事情や立場をそのまま認める度量があってこそ、“本音”という最も大切な情報に触れられる―…グループ討論を通じて、多くの方がその事実を改めて実感したように思います。
本音が会社を強くする
今回、降籏社長の体験報告とグループ討論を振り返り、私自身が強く感じたのは「社員の本音が、会社の力を生む源になる」ということです。
たとえ経営者がどれほど有能でも、一人で見通せる範囲には限度があります。多様な人材がいるからこそ多角的な意見が集まり、そこに企業変革や新たな発想が芽生えるのだと思います。しかし、「従業員にもっと本音を言ってほしい」というだけでは、社員はなかなか心を開きません。
そこで大切になるのが、経営者自身が先に姿勢を正し、率直に社員を受け入れ、安心して話せる空気を醸成することではないでしょうか。今回の討論を通じて、多くの参加者が「結局、社員と信頼関係を築かない限り、本音は聞けない。方法論に走るより、まず自分の在り方を見直すことが先決だ」という想いを共有するに至りました。
島田もそこに強く共感し、改めて「社員と共に歩む中小企業」のために、自らの姿勢を問うきっかけをいただいたと感じました。社員の声に真摯に耳を傾ける姿勢を大切にしながら、一緒に未来を拓いていく企業づくりをさらに推進したいと考えます。
今週もよろしくお願いします。
【実店舗に効く話】「いかがでしょうか?」はNGワード?!~顧客心理を理解した今日から使える営業テクニック~
皆さん、こんにちは。 ハンズバリュー株式会社のコンサルタント、津名久ハナコです。
まだまだ雪が降り続いていて、寒い日が続きますね。先日、あまりの寒さに、今冬初めて、自宅でこたつを出しました!こたつでぬくぬくしながら、熱燗を一杯…というのが至福の時間です。最近は、にごり酒にはまっていて、色々な銘柄を試しています。皆さんは、この冬、どのようにお過ごしですか?おすすめの寒さ対策があれば、ぜひ教えてくださいね!
さて、本題です。営業職の皆さま、「なかなかアポイントが取れない」「契約まであと一歩が遠い」そんな悩みを抱えていませんか?
実は、営業成績を大きく左右する要因の一つが「お客様への言葉の選び方」なんです!
今日は、顧客心理を理解した、今日から使える営業テクニックを、皆さんに伝授いたします!
「いかがでしょうか?」が、お客様の心を閉ざす理由
営業の場面で、つい使ってしまいがちな「いかがでしょうか?」「よろしいでしょうか?」という言葉。一見、丁寧な表現で、お客様に寄り添っているように感じますよね。しかし、実はこの言葉、お客様に「決断のプレッシャー」を与え、心を閉ざしてしまう可能性があるのです!
なぜなら、「いかがでしょうか?」と聞かれたお客様は、「イエス」か「ノー」の選択を迫られ、無意識のうちに、自分の意思決定に責任を持たなければならないと感じてしまうからです。
「イエス」と答えれば、本当にそれで良いのか?と不安になる。「ノー」と答えれば、断る理由を考えなければならない。どちらにしても、お客様にとっては精神的な負担が大きいのです。
「行きましょう」「使いましょう」で、お客様の背中を押す!
では、どのようにすれば、お客様の心を動かし、行動を促すことができるのでしょうか?
ここで効果的なのが「行きましょう」「使いましょう」のように、断言する、言い切る表現を使うことです!
例えば、雪が解けた春先に、住宅の展示会に足を運んで欲しい場合は、「住宅展示会、いかがでしょうか?」ではなく「春の新生活に向けて、住宅展示会に行きましょう!」と言い切ります。
サンプル品を使って欲しい製造業の事業者様であれば、「サンプル、いかがでしょうか?」ではなく「このサンプル、使いましょう!」と断言します。
このように言い切ることで、お客様は「イエス」とも「ノー」とも言っていないのに、「相手から言われたから仕方なく」という、自分自身への言い訳が成立します。そのため、「いかがでしょうか?」と聞かれるよりも、精神的な負担が軽くなり、行動に移しやすくなるのです。
情報過多の現代、顧客は「簡単」「楽」を求めている!
現代は、情報が溢れかえっている時代です。お客様は、日々大量の情報にさらされ、情報処理に疲れています。そのため、できるだけ新しい情報や決断は、自分から遠ざけ「難しくなく」「簡単に」「楽に」行動したいと考えています。
「行きましょう」「使いましょう」という表現は、そんなお客様の心理に寄り添い、行動へのハードルを下げる効果があります。お客様が「自分で決めた」という責任感や負担を感じることなく、自然と行動に移せるよう「行動に水を向けてあげる」イメージです。
実践!「言い切り」テクニックを使いこなすためのポイント
「言い切り」テクニックは、強力な営業手法ですが、使うタイミングには注意が必要です。お客様との信頼関係が築けていない段階で、いきなり「行きましょう!」と言い切ってしまうと、強引な印象を与え、逆効果になる可能性があります。
「言い切り」テクニックを効果的に使うためのポイント
- お客様との信頼関係を構築する
まずは、お客様の話を丁寧に聞き、ニーズや課題を理解すること。そして、お客様の立場に立って、共感的なコミュニケーションを心がけましょう。 - 適切なタイミングを見極める
お客様が商品やサービスに興味を持ち、前向きな姿勢を示しているタイミングで、「言い切り」の言葉を使いましょう。 - お客様の反応を見ながら、柔軟に対応する
「言い切り」の言葉を使ってみて、お客様の反応が芳しくない場合は、すぐに別の言い方に切り替えるなど、柔軟に対応することが大切です。
まとめ
営業は、お客様の心を動かし、行動を促す仕事です。そのためには、お客様の心理を理解し、適切な言葉を選ぶことが重要。
「いかがでしょうか?」という言葉は、お客様に決断のプレッシャーを与え、心を閉ざしてしまう可能性があります。今日からは、「行きましょう」「使いましょう」という「言い切り」テクニックを駆使して、お客様の背中を押し、行動を促しましょう!
「もっと効果的な営業トークを学びたい!」「自社の営業戦略を見直したい!」という方は、ぜひハンズバリューにご相談ください!私たちと一緒に、お客様の心を動かす、最強の営業チームを作り上げましょう!
ぜひご参考ください。
【偏集後記】中小企業家同友会の委員会活動での学びについて共有します
ハンズバリュー株式会社の変革者・作家である島田慶資です。
先日、中同協の経営労働委員会で白熱したグループ討論が出来ました。その学びを共有させていただきます。 グループ討論のテーマは「経営指針書と社員の人生設計をいかに結びつけるか」です。
討論の中では、日々の忙しさや社員の現状への満足感が原因で「経営理念や十年ビジョンを十分に実践できていない」「社員の人生設計にビジョンを結びつけることが難しい」という問題が、各県の経営労働委員長の会社においても実際に存在していることが改めて確認されました。一方で「そもそも会社が掲げる未来像そのものが、どの程度社内に浸透しているのか」という問いかけもあり、議論はさらに深まったように感じます。
社員が自分の将来を会社に重ね合わせようとする意欲が湧きにくい背景には、「忙しいから」「若い社員は出世欲が薄いから」という理由で経営指針の実践を止めてしまい、行動から得られる達成感や学びを得ないままになっている現状があるのではないでしょうか。
討論を重ねるうちに、まずは号令をかけて実際にやってみることで、自分たちの可能性に気づき、その充実感が次のアイデアや情熱へと繋がっていくのではないかというヒントが見えました。
十年ビジョンや経営理念を「最初から完成形にしよう」と捉えるのではなく、段階的に行動を始めることが重要だという意見が多くの参加者にとって大きな学びだったように思います。行動する中で生まれる気づきをビジョンへと反映していく流れを作ることで、社員は「自分にもできることがあるのだ」と実感し、その達成感が次のステップへのエネルギーとなっていくのです。同時に、いくら理念やビジョンを掲げても、経営者が「言いっぱなし」で終わってしまうと社員はその本質を自分の心に落とし込めません。実際、ある会社では「部門長を育て、さらに部門長がその部下を育てる」という仕組みづくりを六年以上かけて行ってきたという報告がありました。こうした時間と情熱を要する取り組みこそが、社員に「会社の未来」と「自分の将来」を重ね合わせてもらうための土台になるのだと再認識しました。
振り返れば、私たちの人生はその多くの時間を会社で過ごすことになります。だからこそ、会社の目的やビジョンが、経営者を含めた全社員の人生にどのような意味を持ちうるのかを真剣に考える必要があるという結論に到達できたことは、大きな収穫でした。会社の示す未来像と、社員一人ひとりが描く生き方の間に共通項があればあるほど、日々の働きに前向きな意義が感じられますし、最初からすべてが一致しなくても、部分的な重なりがあるだけで仕事への姿勢が大きく変わってくるという意見には深く頷かされました。そのためにも、お互いの思いや事情を本音で語れるだけの信頼関係が欠かせないと痛感しています。
さて、こうした議論とあわせて田崎社長の体験報告では「論理的であり倫理的であり、そして情熱的でなければ人は動かない」という学びがありました。同友会を通じた学びを活用しながら、膨大な時間をかけて経営の根幹を社内に浸透させるという“論理的な”努力を続けるためには、経営者自身の揺るぎない“情熱”と、会社と社員とその家族、地域のより幸せな未来を目指す“倫理観”が不可欠だというのです。いくら素晴らしい理念を掲げても、それを支える熱量と倫理観が伴わなければ、社員は自分の人生を会社のビジョンに重ねてみようとは思えないでしょう。
これらの学びを踏まえると、まずは私たち経営者が自社の未来を心から語り、こまめに対話を重ねることが欠かせないという思いを新たにします。誰もが忙しく過ごす日々の中であっても、率先垂範の姿勢を崩さず、時間管理を徹底し、社員の考えや人生観を正面から受け止めるための場をつくり続けることが肝要です。論理・倫理・情熱、そして本物の対話。この四つが揃ってこそ、社員は心を動かされ、会社の掲げるビジョンと自分の生き方を結びつけてみようという気持ちになるのではないでしょうか。
そうした営みを一歩ずつ積み重ねる先にこそ、社員が「この会社で働くことが自分の人生の可能性を広げてくれる」と実感できる未来があると私は信じています。会社として社会にどのような価値を提供していくのか、社員がどこで自分の生きる意味を見出すのか。これらを双方が本音で語り合い、共鳴できる瞬間を一つでも多く生み出すために、社員それぞれの人生に寄り添い、その可能性を共に探り続ける経営姿勢を貫いていきたい。そして、「人を生かす経営」の実践によって、私たちの会社がより大きな社会貢献を果たし、多くの方々を幸せにできる企業へと進化していくことを、何よりも楽しみにしながら歩みを進めたいと思います。
それでは、またお会いしましょう。 今日も一日、良い学びを。