週刊島田慶資|「大浴場が狭い」と書かれた旅館は、浴場を1坪も広げなかった

皆様、こんにちは! ハンズバリュー株式会社の島田です。

出典を明記していただけるのであれば、自由に配布ください。

変革者の円卓会議で一緒に勉強しましょう
次回: 2026年11月21日(土)財務セミナー① 損益計算書を武器に変える(対面・従業員同伴可)

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[ 独り言コーナー ]

❶ シルバーウィークは、仕事三昧でした。新しい生成AI「Jev」が出てきたので、さっそくいじり倒しました。面談の音声を聞かせると、話している最中に業務の流れを図にしていく。そんな仕組みを作ってみました。お客様と話しながら、画面の上で図が育っていきます。本当に面白い。ちょうどビジネスコンテストの募集を見かけたので、これを引っさげて応募しました。結果が出たら、またご報告します。

❷ 山形同友会の「経営指針を作る会」で、特別補講をおこないました。13時から19時まで、みっちり6時間。戦略と数字が噛み合っているかを、一つずつ確かめていきました。理想を掲げる以上、寝言にしてはいけない。自分と社員、その家族、そして地域を倖せにする。そのために、現実すなわち数字と向き合う。受講生の皆さんと一緒に、僕もレベルアップできます。たまりませんね、指針は。お野菜セットまでいただきました。ありがとうございます。

❸ 先週お話しした、坊やのお片づけチャレンジの続きです。リビングには、レゴとトミカがすっかり戻ってきました。それは分かります。分からないのは、セミの抜け殻です。あれは、たしかに捨てたはずでした。どこから拾ってくるのでしょうか。

[ 島田の気になるニュース ]

❶ ブタの腎臓を遺伝子改変、5人への移植を経て33人の臨床試験へ進む
肝臓と腎臓をあわせて「肝腎要」。那須塩原の先生に教わった言葉です。ブタの内臓は人間と構造が似ている、という話は前から聞いていました。そのまま移植した臨床試験はうまくいかなかったと記憶していましたが、遺伝子を改変して先へ進めたんですね。発展に期待しています。ただ、技術が確立して広く使えるようになるまでは、大事に使いましょう。自分のものを。
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❷ 「AIっぽい」スライドを見ると、なぜ聞く気がなくなるのか
AIが作ったスライドやイラストは、なぜか説得力がなくなる。週刊島田慶資でも何度か取り上げてきた問題です。医学の学会でも、同じ問題を投げかけているドクターがいらっしゃいました。AIの活用については、誰よりも努力している自負があります。そのうえで思うようになりました。聞く気がなくなるのは、AIが作ったからではない。AIに丸投げして、誰も編集の責任を持っていないことが、見る側に伝わってしまうのではないか。皆様はどう考えますか。
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❸ 「106万円の壁」来月撤廃 働き控え解消期待も企業負担増 スポットワークに追い風か
シンプルに、増税です。社会保険の対象はこれから10年ほどかけて段階的に広がり、最後は会社の規模を問わず、週20時間以上働くパートの方は全員が対象になります。週20時間、時給1,200円で働くと、年収はおよそ125万円。130万円の内側に収まる働き方です。ここに社会保険が乗ると、手取りを今と同じに保つだけで、会社の負担を含めた人件費は170万円近くまで膨らみます。それでいて、働く人の手取りは変わりません。賃上げを求めるなら、社会保険料の負担を軽くすることとセットにしなければ、手取りが増えた実感は生まれないと思います。
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島田慶資の逆転思考

— 不利な条件を武器に変えた経営者の物語 —

「大浴場が狭い」と書かれた旅館は、浴場を1坪も広げなかった

ある温泉旅館を支援した時の話です。

口コミに「大浴場が狭い」と書かれていました。社長はため息混じりにこう言いました。

「浴場を広げる余裕なんて、うちにはありません」

設備投資の余力がない。建て替えもできない。物理的に広くする方法がない。

僕には、答えのおおよその見当はついていました。ただ、コンサルティングの現場では、答えを先に申し上げてしまうと、ほとんどの場合うまくいきません。「島田さんがそう言うなら」で始まった施策は、現場で続かないからです。

ですから僕の仕事は、答えを言うことではなく、経営者が答えにたどり着くための問いを、適切な順番で置いていくことです。


転換点1 — 「狭い」って、何坪ですか?

僕はまず聞きました。「ちなみに、大浴場って何坪ですか」

社長は少し考えて答えました。「10坪くらいですかね。洗い場含めて」

「近隣の旅館さんの大浴場、広いですか」

「いや、うちと変わらないと思いますよ。このエリアの旅館は大体そのくらいです」

そうなんです。物理的な広さでは、実はそれほど差がない。なのに、口コミで「狭い」と書かれるところと、書かれないところがある。

「狭い」と感じさせている何かが、面積以外にある。


転換点2 — お客様は何を「狭い」と言っているのか

「お客様が大浴場に入られる時間帯って、集中しますか」

社長は頷きました。「夕食前の5時半から7時くらいに集中しますね。チェックインして、荷物を置いたらまずお風呂、という方が多いです」

「その時間帯、お風呂に何人くらいいらっしゃいますか」

「5人、6人、多い時は8人くらいですかね」

10坪の浴場に8人。洗い場が4つなら、待ちが出ます。湯船も肩が触れ合う距離です。

ここで一つ見えてきました。お客様が「狭い」と言っているのは、浴場の面積のことではないかもしれない。隣の人との距離のことです。パーソナルスペースの問題です。

社長がぽつりと言いました。「確かに、朝のお風呂は2人くらいしかいないから、誰も狭いって言いませんね」

同じ浴場です。面積は1坪も変わっていない。でも、朝は狭くない。


転換点3 — 浴場を広げるのではなく、人を散らす

「食事の時間って、選べるようになっていますか」

「はい、6時か7時のどちらかで」

「もし食事の開始時間をもう少し細かく設定できたら、お風呂の混み具合は変わりますか」

社長はしばらく考えていました。

「食事が6時・6時半・7時の3回に分かれたら、お風呂の時間もばらけますね。5時半に集中しなくなる」

「浴場は1坪も広がっていませんが」

「……広くなりますね。お客様の感じる広さは」

その瞬間、社長の表情が変わりました。


翌週から、この旅館では食事の開始時間を3枠に分けました。

これだけです。設備投資ゼロ。工事ゼロ。変えたのはオペレーションだけです。

不利だと思われていた「大浴場が狭い」は、「一人あたりの専有面積を広げる運用ができる」という強みに反転しました。

大規模旅館にはできないことです。大規模旅館は100人が同時に使える大浴場を持っていますが、100人を時間で分散させることは構造的にできません。むしろ小規模だからこそ、食事の時間を柔軟に組めるし、お客様の動線を設計できる。

「お客様の言葉を、額面通りに受け取ってはいけない」

社長はそう言いました。「狭い」は、浴場の面積に対する不満ではなかった。知らない人と肩が触れ合う距離に対する不快感だった。

問題の定義を変えれば、解決策はまったく違うものになります。


僕たち外部の人間の仕事は、経営者ご自身が答えにたどり着くための問いを、適切な順番で置いていくことです。答えはいつも、経営者ご自身の中にあります。僕たちは、その場所を、問いを通じて指さしているだけなのです。

皆さんの会社でも、お客様の「不満の言葉」を額面通りに受け取っていることはありませんか。「高い」は本当に価格の問題ですか。「遅い」は本当にスピードの問題ですか。

不満の裏にある「本当の意味」を探ると、設備投資なしで解ける課題が見つかるかもしれません。

変革者作家・島田慶資

今号の相談テーマ:口コミの不満を、設備投資なしで解けるのか

気になっている口コミを3つお持ちください。その言葉の裏にあるお客様の本当の不満を、30分で一緒に探します(無料)。売り込みません。翌営業日に島田から返信します。

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10月1日 島田慶資 終日出張のお知らせ

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9月18日(金)は終日休業のお知らせ

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