週刊島田慶資|「お得意先を増やせ」は正しい。では、何件増やせば足りるのか

皆様、こんにちは! ハンズバリュー株式会社の島田です。

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次回: 11/21(土)10:00-12:00「財務セミナー① 損益計算書を武器に変える」(山形市・対面/従業員同伴可)

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[ 独り言コーナー ]

❶ 東京出張に、MacBook Airを一台だけ持って行きました。Zoomのミーティングを2本、資料の作成を4本。それなりの負荷をかけたつもりでしたが、一日中、電源を探さずに済みました。宿に戻ってバッテリーを見たら、まだ30%残っている。Surfaceでは考えられなかったことです。高校生の頃からWindowsを使ってきたので、乗り換えには抵抗がありました。使ってみると、あっけないものですね。Mac、いいです。替えてよかったと思っています。

❷ 自宅にメッシュWi-Fiを入れました。電波の届きにくかった僕の部屋の通信速度が、別物になりました。もっと早く買っておけばよかった。業務用として使うには物足りない場面もあるのでしょうが、もしかすると少人数の事業所ならこれで十分かもしれません。ゲストモードも付いていましたので、お客様がいらしたときのご案内もしやすそうです。

❸ 坊やが、オーブンでパンにチーズをのせて焼いていました。サンドウィッチのつもりだそうです。別の日には、掃除をすると言ってトイレで洗剤をぶちまけていました。どこで覚えてくるのか、本当に不思議です。日々成長しているというのは、こういうことなのでしょう。

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「お得意先を増やせ」は正しい。では、何件増やせば足りるのか

みなさん、こんにちは。

今回の話は、僕がこれまで見てきたいくつかの現場を、一つのお店に重ねて書いています。数字は、分かりやすいように丸めてあります。

社員3名の、看板屋さんです。店の袖看板を作り、工場の案内板を立て、たまに車のカッティングもやる。社長を入れて4人。年商は5,000万円ほど。

その年、いちばん大きなお客様が1社、消えました。廃業です。年間で800万円の仕事でした。

社長は僕にこうおっしゃいました。

「お得意先を増やさないと、まずいですよね」

正しいと思います。商売を始めたときから、誰もが言われ続けてきた言葉です。

僕には、答えのおおよその見当はついていました。ただ、コンサルティングの現場では、答えを先に申し上げてしまうと、ほとんどの場合うまくいきません。「島田さんがそう言うなら」で始まった施策は、現場で続かないからです。

ですから僕がしたのは、質問を一つ置くことでした。

「何件、増やせばいいんですか」

社長は黙りました。そして、しばらくしてこうおっしゃいました。

「そう言われても……うちみたいな小さいところは、大きい仕事は結局、大手さんに持っていかれますから」

そこを、少し引っ張ってみることにしました。


一つ目の問い。「その大手さんは、年に1回の点検を売りに来ますか」

「来ないですね。うちのお客さんのところには、一度も」

なぜ来ないのか。年1回の点検は、1件あたり6万円ほどの仕事です。営業マンが車で往復して契約を取ってくるには、金額が小さすぎる。大手が取りに来ないのは、興味がないからではありません。組織の大きさが、その仕事を採算に合わなくさせている。

大きい仕事を持っていく会社が、小さい仕事は持っていけない。小さい会社にしか取れないものが、そこにありました。

二つ目の問い。「お客様は、看板が壊れてから電話してきますか」

「そうです。だいたい、夜に光らなくなったって」

壊れてから連絡が来る。つまり、壊れるまで誰も見に行っていない。お客様が点検を要らないと言っているのではなく、点検を売りに来る人が、これまで一人もいなかっただけでした。

三つ目の問い。「この街の看板は、いつ頃LEDに替わりましたか」

社長は少し考えて、「10年前くらいですね。補助金が出た年があって、一気に」とおっしゃいました。

LEDの寿命は、だいたい10年です。街じゅうの看板が、いま一斉に切れ始める。そのとき、どの看板がいつ設置され、どの部品が入っているかを知っているのは、施工した会社だけです。


ここで、社長と一緒に引き算をしました。

年商5,000万円、粗利率50%で、粗利は2,500万円。4人の人件費と、車両と、家賃と、保険。固定費が2,200万円。借入の返済が200万円。社長が残したい利益が100万円。足すと、必要な粗利はちょうど2,500万円です。

次に、来期、何もしなくても入ってくると言い切れる額を数えました。年間契約の点検が30件。1件6万円で、180万円。

2,500万円から180万円を引くと、2,320万円。

これが、今年ゼロから取りにいかなければならない額です。

看板の仕事は、1件あたりの粗利が25万円ほど。2,320万円を25万円で割ると、93件。この会社が去年こなしたのは70件です。社長は「93件は無理です」とおっしゃいました。4人で93件は、確かに無理です。

では、と僕は聞きました。10年で建てた看板は、何件ありますか。

「600件は、あると思います」

そのうち200件が点検契約になったら、どうなりますか。

1,200万円です。取りにいく額は2,320万円から、1,300万円に減ります。件数にすると、52件

去年こなした70件より、18件少ない

増やすどころか、減らしていい。そういう数字が出ました。しかも点検の営業に、新しい人は要りません。過去10年、看板を建てた先の名簿が、社長の頭の中にあったからです。


翌週から、社長は動きました。

まず、10年分の施工先を一覧にしました。エクセルで、住所と設置年と、入っている部品。これまで、社長の記憶にしかなかったものです。

そこへ、点検のご案内を出しました。年1回6万円。切れる前に見に行きます、と。

3か月で、30件が58件になりました。取りにいく額は、2,320万円から2,152万円まで下がっています。まだ道半ばです。それでも、この58件は来年、何もしなくても入ってきます。


「お得意先を増やせ」は、間違っていません。

ただ、この言葉には決定的に足りないものがあります。量が出ないのです。

何件増やせば足りるのか。いつになったら十分なのか。それを教えてくれない。だから「もっと」しか出てこない。「もっと」には終わりがありませんから、いつまでも足りない気がする。忙しいのに儲からない、という状態は、たぶんここから生まれています。

順番を変えるだけです。必要な粗利を出す。言い切れる額を数える。引く。残った数字が、今年の勝負どころです。埋まったら、その年はもう積まなくていい。

僕たち外部の人間の仕事は、経営者ご自身が答えにたどり着くための問いを、適切な順番で置いていくことです。答えはいつも、経営者ご自身の中にあります。僕たちは、その場所を、問いを通じて指さしているだけなのです。

この社長の場合、答えは10年分の名簿でした。ずっと、手元にありました。


みなさんの会社では、来期、何もしなくても入ってくる金額はいくらでしょうか。

その数字が言えないとしたら、それは努力が足りないのではなくて、引き算をする前に走り出しているだけかもしれません。

変革者作家・島田慶資


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