皆様、こんにちは! ハンズバリュー株式会社の島田です。
※社内で回覧していただいているお客さまがいらっしゃいました。ありがとうございます!!著作を明記していただけるのであれば、自由に配布ください。
メールマガジンの感想、お待ちしております! 「読んでるよ」と言っていただければ励みになります(^_^)
目次
独り言コーナー
❶体力の衰えを感じたのでサイクリングを復活させました。久々にはしると気持ちが高ぶりますね。たまりに溜まった体脂肪ともお別れしたいです。
❷平日にお客さまと面談するため、土日で資料作成をゴリゴリ進めております。休みの感覚がなく、曜日を間違うこともしばしば。8月決算なので自社の計画も策定しなければならず、てんてこ舞いです。
❸100億円を目指す中小企業成長加速化補助金の合格発表があり、支援したお客さまが合格しました。おめでとうございます。
❹僕の弟から半返しでギフトをいただきました。うちの坊やは、なぜかギフトにトミカが入っていると確信しており、箱を開けてみるとかわいいグラスが。当然、ガッカリしていました。かわいいですね。
❺坊やが妻と親子遠足に行ってきました。坊やも年長なので生涯最後の親子遠足。これから加速度的に関わりが減っていくのだと思うと寂しさがあります。
島田の気になるニュース
❶手前の景況感と一致しますね。山形が2位です。
岩手が倒産率全国ワースト1位に! 10年ぶり最悪更新、東北5県が上位独占【東京商工リサーチ調べ】
❷IT分野は生成AIで人員不足解消に急速に向かっています。採用基準が今後は、生成AIを活用して何を作ったのか?なにができるのか?に変わるでしょう。
AIの出現で、エンジニアの頭数が足りないという感覚がなくなった
❸製造業の経営革新事例。山形県からはジャストが紹介。どのように変革したのか、それぞれのストーリーは読み応えあります。
中小製造業における経営革新事例集~事業承継を契機とした「攻めの経営」への転換~
❹国民負担率が46%超。社会保険料は現役世代のみと考えると、(実際は)より一層高くなります。 補足資料で国際比較をだしていますが「まだまだ負担は少ない方だよ」と言いたいのでしょうか。怒りが収まりません。 なお、財政赤字を加えた国民負担率も併載されていますが、政府の支出は国民の支出ではないので無視してください。財源論を暗に言いたいのでしょうが、経済成長すれば税収は勝手に増えます。
令和7年度の国民負担率を公表します
❺絶対に減税しない強い意志を感じますね。暫定税率の廃止が唯一の選択肢だと考えております。
5/22より、ガソリン価格の「段階的な」引き下げを開始します。
【今週の経済入門】「国の借金」と「金利」のホントのところ、探ってみませんか?
皆様こんにちは、ハンズバリュー株式会社の秘書・勝頼ヒデコです。 いつもメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。

先日、昼食で山形市内の老舗ラーメン屋さんを後輩のハナコと訪問。 お昼のニュースで国の財政状況に関する特集が組まれていまして、石破総理や森山幹事長が「金利のある世界は大変だ」「国の借金はギリシャよりも深刻だ」などと話していました。 ハナコも「先輩、なんだか日本の未来がすごく不安になるような話ばかりですね…。本当にそんなに大変なんでしょうか?」と、心配そうな顔で私に尋ねてきました。
確かに、ニュースや新聞で見聞きする経済の話は、難しい言葉も多く、時には不安を煽るような論調に触れることもありますよね。 でも、大切なのは、情報を鵜呑みにせず、その背景にある仕組みや様々な視点を知ることかもしれません。
そこで本日は、ハナコの疑問をきっかけに、国の財政や金融政策にまつわる「よく聞く話」のいくつかを、少し深掘りしてみたいと思います。
本日のテーマ『「国の借金」と「金利」のホントのところ、探ってみませんか?』
1. 「日本の財政はギリシャより悪い?」~自国通貨で考えることの大切さ~
まず、ハナコが気にしていた「日本の財政はギリシャより悪い」という話。 確かに、国の債務残高の対GDP比などを見ると日本は高い水準にあります。しかし、ここで一つ大切なポイントがあります。それは「自国通貨で国債を発行しているかどうか」です。
ギリシャはユーロという共通通貨を使っているため、自国でユーロを自由に発行することはできません。
一方、日本は「円」という自国通貨を発行できます。これは、国の財政を考える上で非常に大きな違いとなります。自国通貨建てで国債を発行している国は、極端な話、返済のためのお金(自国通貨)が足りなくなるという事態には原理的に陥りません。単純な比較ではなく、こうした通貨発行の仕組みの違いも勉強しておく必要がありそうですね。
2. 「金利のある世界」はそんなに怖い?~国債の仕組みをチェック~
次に「金利のある世界が怖い」という点。 最近、日本でも金利が少しずつ動き始め「国債の利払い費が増大して大変なことになる!」という声も聞かれます。
しかし、これも詳しく見てみましょう。
政府が発行している国債の多くは「固定金利」で発行されています。 これは発行時点の金利が満期まで変わらない、ということです。つまり、現在市場の金利が多少変動しても、すでに発行された固定金利の国債の利払い費がすぐに増えるわけではありません。
もちろん、これから新規に発行される国債は、その時々の金利の影響を受けます。 ただ、その利払いについても、政府は新たな国債発行(=通貨発行)によって賄うことができる、という仕組みになっています。変動金利の国債も一部にはありますが、その割合や影響は限定的です。
3. 日銀が国債を買うとハイパーインフレに?~お金の流れを考える~
「日本銀行(日銀)が国債をたくさん買い取ると、市場にお金が溢れてハイパーインフレになる!」というのも、よく聞かれる心配事の一つです。
日銀が市場から国債を買い入れる(公開市場操作)というのは、どのようなことなのでしょうか🧐 多くの場合、日銀は民間銀行が保有している国債を買い取り、その対価として日銀当座預金(民間銀行が日銀に持っている口座のお金)を増やします。これは、民間銀行の資産構成が「国債」から「日銀当座預金」に変わるだけで、この取引自体が直接、私たちの手元にお金として渡ったり、世の中のモノやサービスの量(GDP)を急激に増やしたりするわけではありません。
実際に、これまで日銀は大規模な国債買い入れを行ってきましたが、心配されたようなハイパーインフレには至っていません。 もちろん、金融政策は物価に影響を与えますが、そのメカニズムはもっと複雑なようです。
4. インフレ・デフレの本当の要因は?~マスク不足を思い出してみよう~
では、そもそもモノの値段が上がったり下がったりする(インフレ・デフレ)のは、何が原因なのでしょうか。 コロナ禍初期のマスク不足を思い出してみてください。あの時、マスクの価格が急騰したのは、政府がたくさんお金を刷ったからでも、日銀がたくさん国債を買ったからでもありませんでしたよね。単純に、マスクを欲しい人(需要)に対して、マスクの生産・供給が追いつかなかったからです。その後、多くの企業がマスク生産に乗り出し、供給能力が上がると、価格は落ち着いていきました。
つまり、インフレやデフレの基本的な要因は、モノやサービスに対する「需要」と「供給」のバランスにあるのです。お金の量だけでなく、このバランスが非常に重要だということですね。
5. 「財政の余力」って何だろう?~本当の備えとは~
「大きな災害や有事の際に備えて、財政の余力を確保しておくべきだ」という意見もよく聞かれます。もちろん、備えは大切です。 しかし、その「余力」とは、単にお金(国債発行の余地)のことだけを指すのでしょうか。
先ほどのマスクの例で言えば、いくらお金があっても、マスクを生産する工場や材料、働く人がいなければ、マスクは手に入りません。 災害復興で考えても、いくら予算(お金)があっても、建設資材が不足していたり、土木・建設業で働く人がいなければ、復興は進みません。
つまり、本当の意味での「国の力」や「有事への備え」とは、お金そのもの以上に国内で必要なモノやサービスを生み出せる「供給能力」ではないか、と考えます。 日頃から国内の様々な産業の供給能力を維持・向上させておくことが、いざという時の本当の力になります。
だからこそ、中小企業や農家に重税を課すばかりではなく、供給能力を国が担保するコトが重要になるわけです。
6. 私たちの経済、まだ成長できる?~GDPギャップという考え方~
経済の議論では「GDPギャップ」という言葉があります。 これは、一国の経済が持つ潜在的な供給能力と、実際の需要との差を示すものです。
もし、供給能力に余力がある(GDPギャップがマイナス)のであれば、政府が財政支出を増やしたり、減税を行ったりすることで需要を喚起し、経済を成長させる余地がある、と考えることができます。
日本の現状について、このGDPギャップの観点から見ると、20兆円ほど成長の余地があり、必要な分野への政府支出を増やすことで経済を活性化できます。 試算上は消費税を廃止してもまだGDPギャップは埋められません。そのくらいの開きがあります。
約30年間、実質的な経済成長が見られなかった日本にとって、これまでの政策の前提を見直す時期に来ているのかもしれませんね。
国会での議論に学ぶ
国会などでの質疑応答を見ていると、こうした財政や金融に関する政府の考え方について政府の発言は間違えている、または嘘を言っていることが多いと気がつきます。 我々は投票行動でしか政治を動かすことが出来ません。間違いなく、現在の少数与党は経済音痴です。絶対的に変革が求められています。
まずは私たちが正しい知識と貨幣観をもつことが大事だと思いました😺それでは、次回もお楽しみに! 今週もどうぞよろしくお願いいたします。
次回の配信もお楽しみに! 今週もよろしくお願いいたします。
【“勘”頭言】厳しい経営環境と向き合う覚悟
皆様、こんにちは。そして、お久しぶりです。 ハンズバリュー株式会社の変革者・作家、島田慶資です。
二ヶ月ほど、メールマガジンをお休みさせていただきました。その間、本当に様々なことがあり、多くのことを考え、学ぶ時間となりました。この二ヶ月で得た学びを、これから一年という時間をかけて、皆様とじっくり共有し、一緒に勉強させていただければと考えております。
肌で感じる、公式発表との大きな乖離
まず、現在の経営環境についてですが、日銀や政府が発表している景況感と私たちが肌で感じる現実との間には、ずいぶんと大きな隔たりがあるのではないでしょうか。コロナ禍で支出されたと言われる200兆円もの資金の多くが、結局は税金やコロナ融資の返済として回収されている実感があり「一体、誰がお金を使っているんだ」と感じている方も少なくないはずです。
加えて、この物価高と人件費の高騰。昨年の最低賃金をおそらく今年も上回る金額が提示されるでしょう。山形や福島では、時給1,100円というのが一つの目安になるかもしれません。経営環境は、ますます厳しさを増すばかりです。
そもそも新型コロナウイルスが拡大した時期の需要消失は、政府の判断ミスによる「人災」であったと島田は考えています。 その人災の中、私たち中小企業は必死に雇用を維持し、地域社会を守ってきました。その自負はあります。しかし、その頑張りに対して、今何の手助けもありません。
地方経済の要「温泉旅館」の危機が示す未来
象徴的な出来事として山形では温泉旅館が買収された、あるいは廃業を選択したというニュースが、3ヶ月に一度は流れてくるようになりました。
温泉旅館というビジネスは、ただの宿泊施設ではありません。畳屋さん、設備屋さん、食材を納める農家さんや酒屋さんなど、実に多くの地元業者との取引で成り立っています。 また、健常者はもちろん、おじいちゃんやおばあちゃん、障害を持った方など、多様な人々が生き生きと働ける貴重な雇用の受け皿でもあります。
さらに言えば、温泉旅館は「観光の拠点」。
どんなに素晴らしい観光資源があったとしても、泊まる場所がなくなれば、人々はその地域を訪れ、楽しむことができなくなります。つまり、地域の魅力そのものが失われてしまうのです。この重要な産業が衰退していくということは地方の衰退が決定的になることを意味します。
水面下では、私たちが耳にする以上の数の宿泊施設が、廃業か買収かという厳しい選択を迫られているのが現実です。
無力感の先に見出した、ただ一つの答え
一人のコンサルタントとして、この状況をどうすれば止められたのか。この不幸をどうすれば減らすことができたのか。この二ヶ月間、お客様をご支援しながらも、ずっと悩み続けてきました。正直、一人のコンサルタントができる支援の範囲には限界があります。
そして、悩み抜いた末にたどり着いたのは「社長様自身が、会社の現状を正しく認識する」という、その一点に尽きるということでした。
この結論に至ってから、私は改めてコンサルタントとしての自分の技術を見直し、知識を棚卸し、お客様がご自身の力で現状を正しく見つめるための技術を磨き直してきました。
今、私たちが共に学ぶべきこと
現在、この磨き上げた知恵を、中小企業家同友会という場で広めていくための企画を進めております。 本音を言えば、当社の顧問先のお客様全員に同友会へご入会いただき、共に学びたいという思いですが、なかなかそうもいかないでしょう。
そこで、並行して、当社主催でZoomを使った勉強会のようなものを開催することも検討しております。近いうちに、何らかの形でお知らせさせてください。
厳しい時代だからこそ、目を背けず、共に学び、未来を切り拓いていく。そんな機会を皆様とご一緒できることを、心よりお待ちしております。
今週もよろしくお願いします。
【実店舗に効く話】モノを売るな、“ロマン”を売れ!
お客様が本当に欲しいものを見つける方法
皆さん、こんにちは。 ハンズバリュー株式会社のコンサルタント、津名久ハナコです。 いよいよ夏本番!福島の夏といえば、8月1日~3日の「わらじまつり」ですね!そして山形では8月5日~7日に「花笠まつり」と、東北の夏祭りが目白押し!🏮✨
お祭りがたくさんあると、美味しいものを飲んだり食べたりするチャンスもたくさん!ということで、会社の先輩たちと「どのお祭りに行こうか?」なんて、楽しい作戦会議で盛り上がっております(笑)。
さて、そんな夏祭りの熱気にも負けないくらい、熱いご相談をお客様からいただきました!
「日本中から、お客さんを集めるにはどうすればいい?」
先日、車のカスタムショップを経営されているお客様を訪問した時のことです。 普段は寡黙な社長様が、熱い眼差しで私にこうおっしゃいました。 「津名久さん。うちは山形で輸入車のカスタムをやってるんだけど、この技術は東北ではうちだけなんだ。ホームページを使って日本中からお客様を集めるには、どうすればいいと思う?」
…その真剣な想い、受けて立ちましょう! 早速、社長様と熱い意見交換のスタートです!
お客様が本当に欲しいものは、“モノ”じゃない?
社長様にお店の「強み」を伺うと、「輸入車をカスタマイズして、こだわり抜いた走りができることだよ」と教えてくださいました。 確かに、それは素晴らしい技術であり、大きな強みです。
でも、私はふと考えました。 お客様が本当に「買いたい」と思っているものは、一体何でしょう?
もちろん、具体的な「モノ」や「サービス」として、カッコいい輸入車や、自分が満足できるスポーティな走り、という答えがあると思います。 しかし、それはあくまで表面的な価値。お客様が心の底から求めているのは、その先にある「自分自身が納得できる満足感」…これを一言で言い換えるなら、「ロマン」ではないでしょうか。
「自分が思い描いた通りのカスタマイズを施した愛車で、納得のいく走りを体験したい!」 「その瞬間、どんな高揚感が、どんな充実感が、全身を駆け巡るだろう!」 …お客様は、そんな「最高の体験」にお金を払っているのだと思います。
「ロマン」を伝えるホームページとSNSへ!
「お客様は、最高の体験、つまりロマンを買っているんです!」 そう考えると、ホームページやSNSで発信するべき情報の方針も、はっきりと見えてきます。
社長様のこだわりや、メカニックの方々の詳細なエンジンカスタマイズ技術といった情報は、もちろん必要です。それは、お店の信頼性を担保する大切な要素です。
しかし、それ以上に、初めて訪れたお客様の心を掴むためには夢やロマンを感じていただけるような「ビジュアル」が非常に重要になります!
例えば…
- 白布温泉の峠道や、蔵王のお釜を、カスタムされた愛車が気持ちよく駆け抜ける動画や写真。
- お客様にご協力いただき、ご自身のガレージで愛車をうっとりとメンテナンスしている風景。
- ショップに集まったお客様同士が、車談義に花を咲かせている、サロンのような光景。
どうでしょう?そこには間違いなく「ロマン」がありますよね! 自分もこの車を手に入れたら、こんな充実した毎日が送れるんだ、こんな素敵な仲間と出会えるんだ、という「夢」をお見せするんです。
SNSでの発信も同じです。 技術的なこだわりや、社長様たちの熱い想いは、お店のファンになってくれた方にこそ深く響きます。ですから、最初のとっかかりとしては、この「ロマン」を前面に押し出していくのが効果的でしょう! お客様とカスタムカーが共にある「豊かな暮らし」を、たくさんの写真や動画で見せていくのです。
「思い出したよ!」社長の心に灯った、最初のワクワク
このご提案を、熱を込めてお話ししたところ、社長様はハッとした表情で、こうおっしゃいました。 「すごいね、津名久さん…。確かにそうだ。自分も、初めてこの輸入車を扱った時、初めてハンドルを握った時のあのワクワク感、希望や期待は今でも忘れられない。『ちょっと無理してでも、この夢を絶対に手に入れるんだ!』って、強い衝動に駆られたのを今、思い出したよ!」
「そうなんです、社長!その気持ちこそが、お客様が求めているものなんです!」 私は、社長様とがっちりと熱い握手を交わしました。 「久々にこんなに熱く喋ったよ!」と、とても晴れやかな顔をされた社長様。
この後、無事にご契約をいただき、私は企画担当として、この「ロマン」を形にするプロジェクトに参加させていただけることになりました!早速、腕利きのデザイナーの先輩に引き継いで、最高のチームで臨みます!
社長様、これからもどうぞよろしくお願いいたします!
あなたのお店が売っている「ロマン」は何ですか?
皆様のお店や会社が、お客様に提供しているものは何でしょうか? それは、ただの「モノ」や「サービス」ですか? それとも、その先にある、お客様の心を躍らせる「ワクワクする体験」や「最高のロマン」ですか?
ぜひ一度、お客様が本当に求めている「価値」について、考えてみませんか?
もし、「うちのロマンって何だろう…?」「どうやって伝えたらいいか分からない…」とお悩みでしたら、いつでも私たちハンズバリューにご相談くださいね! 皆様のビジネスに眠る「ロマン」を、一緒に見つけ出し、熱く伝えていくお手伝いをさせていただきます!
ぜひご参考ください。
【偏集考記】P/Lは「みんなの物語」、B/Sは「社長の哲学書」
~決算書が語る、会社の真実~
ハンズバリュー株式会社の変革者・作家の島田慶資です。
先日、あるお客様とお話しする中で「販売なくして利益なし」という商売の基本について、改めて考える機会がありました。 この格言を深掘りしていくと、会社の財務諸表が持つ、二つの異なる顔が見えてくるように思います。
「販売」は尊い、みんなの物語
利益はもちろん重要ですが、利益「率」ばかりを追い求めてしまうのは、時に自分本位な考えに陥りがちです。 利益率が高い商品だけを揃えるのではなく、お客様が本当に欲しいと願う商品を一生懸懸命に揃えた「結果として」利益がついてくる。商売の本来あるべき姿ではないでしょうか。
そして、その「販売」という行為は、決して一人では成し得ません。
営業の現場で汗を流す従業員さんたちの努力。それを支えるバックオフィスのチーム。製品やサービスを生み出してくれる生産担当の方々や、大切なパートナーである外注先、納品業者の皆さん…。
関わる全ての人々が「ワンチーム」となり、お客様からの「ありがとう」というたった一言のために、それぞれの持ち場で力を尽くす。日々の売上が積み重なっていく損益計算書(P/L)は、まさにその結晶であり、尊い「みんなの物語」なのだと思っています。
「B/S」は社長の哲学を映す鏡
一方で、貸借対照表(B/S)の世界は、少し趣が異なります。
P/Lがみんなの力の結晶であるのに対し、B/Sに記される資産の購入や借入といった資本政策の数々は、社長一人の意思決定で実行できてしまうものがほとんどです。
「会計事務所がうまくやってくれているから大丈夫」というのは、大変甘い考えかもしれません。
B/Sをじっくりと読み解けば、その会社の社長が、未来のためにどこにどう投資し、どのようなリスクを取り、何を大切にしようとしているのか…その性格や人格、価値観までが透けて見えてきます。
B/Sは、まさに社長の「実力」や「哲学」が、言い訳のしようもなく裸にされてしまう鏡のようなものなのです。
この対比が、面白い!~物語と哲学の交差点~
ここからが、経営の醍醐味でしょう。P/Lが「みんなの物語」なら、B/Sは「社長の哲学書」。しかし本当に興味深いのは、この二つが決して独立していないということです。
今日の売上(物語)は、過去の投資判断(哲学)が生んだ果実。 今期の利益(物語の結末)は、来期の投資原資(新たな哲学)となる。
つまり、物語が哲学を育て、哲学が物語を導く。この循環こそが、経営の本質ではないでしょうか。
だからこそ、二つの問いが重要になります。
日々の熱い「物語」は、堅固な「設計図」の上で展開されているか? 盤石な「設計図」を持ちながら、新たな「物語」への挑戦を怠っていないか?
この緊張関係のバランスを取ること。それが永続する会社への鍵であり、経営の最も深い醍醐味だと改めて気づかされたのです。
あなたの会社の「物語」と「哲学」は?
さて、皆さんの会社のP/LとB/Sは、今、どのような物語と哲学を語っているでしょうか。
日々の忙しい業務の合間に、少しだけ立ち止まって、会社の二つの顔である決算書をじっくりと眺めてみるのも、きっと新しい発見があるはずです。
それでは、またお会いしましょう。 今日も一日、良い学びを。