タンポポイン
タンポポインは米沢スキー場内のペンション村「キラキラ王国」にあるペンションのひとつです。宿の特色は「ペット連れの宿泊客が気兼ねなく楽しく泊まれる」こと。ペンション内には広さ399m2の大きなドッグランも備わっています。開業は1984年、部屋数は実質4部屋。現在、大和様が一人できりもりしています。
タンポポインの立地について《島田の見解》
すでに廃業し、草の中に埋もれている山荘
誠に恐縮ですが、タンポポインがある米沢スキー場の周辺は、今や、観光地としては非常に厳しい立地です。
20数年前のスキーブームの時期には、米沢スキー場も活況を呈し、その宿泊の受け皿であるペンション村も非常に賑わったようですが、今はブームは去りました。もはや米沢スキー場は「それにぶらさがっていれば安泰」といえるような、頼りになる観光資源ではありません。
この立地の観光資源は強いていいえば「米沢牛」です。しかし、米沢牛はその界隈の旅館ならどこでも食べられるので、タンポポインならではの集客力にはなりません。
この立地の観光資源は強いていいえば「米沢牛」です。しかし、米沢牛はその界隈の旅館ならどこでも食べられるので、タンポポインならではの集客力にはなりません。
また、ペンションという業態(名称)自体、昭和の頃ならともかく、平成25年の今となっては、やや時代遅れの感もあります。実際、このペンション村の24軒のうち、営業しているのは半分以下の10軒だけ。残り14軒は廃業しており、中には、豪雪に耐えきれず半倒壊、そのまま廃屋化した建物さえあります。こうした場所にカップルや家族連れが喜んでやってくることは考えにくいでしょう。
こうした条件の厳しい立地では、「宿それ自体が観光資源になる」ほかはありません。それが今回、「ペット連れ宿泊客向けペンション」というコンセプトを打ち出した大きな理由です。
ハンズバリュー お客様に聞く
米沢市のペンション、タンポポインの大和峰子氏に、ハンズバリューのコンサルティングを活用した経緯とその評価について詳しく聞きました。
ハンズバリュー(島田)に集客支援を依頼
ハンズバリュー(島田さん)には、タンポポインに「お客様を集める活動のすべて」をお願いしています。
特にホームページの部分は、島田さんに全部おまかせしています。それ以外の部分は、島田さんにアイディアを出してもらって、実行は私です。
島田さんは「タンポポインの良さを、全国のお客様に『伝える』のが自分の役目だ」といいます。
それをやってくれると助かります。私は自分のことを宣伝して人に伝えるのが苦手なんです。それって「私はすごいわよ」と豪語することに思えて、気恥ずかしいやら、こそばゆくいやら。自分じゃとてもできません。
でも伝えないことには、新しいお客様は来ませんしね。
今年は売上げが大復活
― 最近の集客状況はいかがですか。
おかげさまで今年、平成25年はここ20年間で最高です。数字は久々の「大台」に載れそうです。長いトンネルを脱けて、ついに復活できました。
思えばスキーブームの頃はお客様もたくさん来て、このペンション村も全体が好調でした。でもブームが去ってからは、タンポポインは毎年が前年割れ。一時は年商500万円まで低迷しました。
その頃は、運転免許の合宿の集団宿泊を受け入れて食いつないでいました。団体客が来るのなら良いじゃないかって? 。
うーん、合宿免許の団体宿泊って、すごーく大変で、なのに単価が安いんですよ。
わたし一人で20人からの食事やお風呂のお世話をして、朝から晩まで働きづめ。
だけど単価はそこそこで、そこから食材やらリネンやらの経費を支払うと、手元にお金はほとんど残りません…。
これじゃいけない、何とか新規のお客さんを集めないといけない。一頃は、山形県の呼びかけに反応して、中国語のホームページを作ったりもしました。海外からお客さんが呼べないかな、と。でも、ぜんぜん反響無し。
加えて2011年には東日本大震災が起きて、ゴールデンウイークの予約が全滅。数少ない呼び物だった米沢牛も風評被害に苦しめられましたし。あの頃は弱り目に祟り目でした…。
そんなタンポポインが、「この20年で売上げ最高」というところまで復活できたのは、ひとえに島田さんのおかげ。「タンポポインを『ペット大歓迎の宿』という路線でアピールしましょう」と提案してくださったからです。
わたし自身、今も犬3匹、ネコ1匹と一緒ぐらしでペットは大好き。ペット連れのお客様の気持ちならよく分かるので、いいサービスが提供できる自信があります。自分の得意なこと、好きなことをやって、売上げが伸びるので、とってもいい気分です。
この調子でいけば、スキーブーム全盛期の売上げに戻れるかもしれません。でも、そうなるには受け入れ体制を整えないと。ひさしぶりにスタッフをもう一人雇おうと思います。
お客の99%は県外から!
− タンポポインに来るお客様は、県内と県外からとではどちらが多いですか。
9割9分まで、山形県外からのお客様です。茨木、埼玉、東京、千葉、新潟のお客様が多いです。いつぞやは北海道や九州からお客様が来たこともありました。数ヶ月の長期滞在を希望するお客様もいらっしゃいます。
こんな僻地のペンションなのに、みなさん、ネットでわざわざ探して、来てくださるんです。やっぱり、ネットってすごいですよね。びっくりです。
ハンズバリュー 島田に聞く
「なぜタンポポインが成功できたのか」について、島田による謎解きを公開いたします。
「ペット客への特化」を島田が提案した理由
− タンポポインに「ペット宿泊客向け」というコンセプトを提案したのはなぜですか。言いかえると、なぜ「ペットは当たる」と考えたのですか。
私がタンポポインに、「ペット宿泊客向け」というコンセプトを提案した理由を、キーワードを使って説明すると、次のようになります。
1. ペット市場は大きい。しかしペット愛好家は『宿泊弱者』
日本のペットは2000万頭。巨大な潜在市場
日本の飼い犬、飼い猫の登録数は約2200万頭。これは15最未満の子供の人口を上回ります。今や日本は「子供の数よりペットの数の方が多い国」なのです。
ペット人口の増加に伴い、「ペットを連れて旅行に出たい」というニーズも高まっています。グーグルで「ペット 宿」で検索すると数千件のホームページがヒットしますし、PPC広告の広告宣伝費を調べても、一件あたり入札額はすでに100円を超えています。確かにネット上にはニーズがあります。
また自分の周囲を見ても、山形市のペットショップはどこも繁盛していますし、新庄や天童など中堅都市であっても、ペットのトリミング屋がポツポツ開業しています。ペットに金をかけるお客さんが増えていることは、肌感覚で理解できます。
このようにペット旅行市場には、大きな可能性がありますが、しかし、実は多くの旅館では、「部屋が汚れる」、「他の宿泊客から苦情が出る」などの理由により、ペット客をあまり歓迎していません。ペット客は、一般旅館では肩身の狭い思いをしなければならない。つまり、「宿泊弱者」です。
膨大な人数の、しかも金払いが良い見込み客が、思うように宿泊できず、不満と鬱屈を抱えている…。
この切実なニーズに応えることができれば、必ず集客できる、勝てると思いました。
2. ペットOKの旅館でも、実際の対応が劣悪なことは珍しくない
ペット受け入れ体制が整っている旅館は、実は少ない
私だけでなく、すでに多くの旅館が、「ペット連れ宿泊客」という新市場に注目しています。「ペット連れ歓迎」を謳う旅館も最近は増えてきました。
しかし、表面ではペットOKと言いながら、実際は劣悪な対応をしている旅館も、残念ながら、少なからず存在します。
ある旅館では、『犬が深夜に吠えてうるさい。他の宿泊客の迷惑になるから』という理由で、ペット客を夜中に退去させたそうです。また、ペット客にはなるべく良い部屋をあてがわず、汚い部屋に入れるようにオペレーションしている旅館もあります。
このように「ペットOK」といいながら、その実、対応がなっていない宿は多くあります。このことには、ペットを飼っている人たちも、クチコミなどを通じて気づき始めています。
一方、タンポポインは全く違いました。ここは島田が「ペット大歓迎の旅館にしましょう」と提案するその前から、サービスレベルは、すでに最高だったのです。
感覚で理解できます。
このようにペット旅行市場には、大きな可能性がありますが、しかし、実は多くの旅館では、「部屋が汚れる」、「他の宿泊客から苦情が出る」などの理由により、ペット客をあまり歓迎していません。ペット客は、一般旅館では肩身の狭い思いをしなければならない。つまり、「宿泊弱者」です。
膨大な人数の、しかも金払いが良い見込み客が、思うように宿泊できず、不満と鬱屈を抱えている…。
この切実なニーズに応えることができれば、必ず集客できる、勝てると思いました。
3. 一方、タンポポインの大和さんは本当の動物好き。サービスレベルはとても高い
タンポポインはサービスレベルが最初から最高だった
タンポポインのサービスレベルは、具体的に、次の点で優れています。
● 敷地内に100坪を超える大型ドッグランがある
犬を思う存分に走らせられるドッグランは、都会ではなかなか見つかりません。
ところがタンポポインには、緑の木々に囲まれた、100坪を超える大型ドッグランがあります。
これほどのドッグランを備えた旅館は、私の知る限り山形県内にはありません。
飼い主は、自分の犬が元気に野外を走っているのを見るだけでうれしくなるもの。
このドッグランは、犬好きにはたまらない、最高の観光資源です。
● 宿泊客はみなペット連れなので、気兼ねがいらない
通常の旅館では、一般客の方が多数派なので、ペット連れはどうしても肩身が狭くなります。
でもタンポポインならその心配はありません。
宿泊客はみんな自分と同じペット好き。気兼ねはいっさい要りません。
もちろん食堂にもペット連れ込みOK。
それ以外にも、最低限のエチケットを守っていれば、ペットを遊ばせることについての制限はいっさいありません。
一般旅館で肩身の狭い思いをしていたペット客には、まさに夢のようなペンションといえるでしょう。
● 周辺での散歩がさせやすい
タンポポインの周辺は、人通りも少ない山中のペンション村なので、犬の散歩が、のびのびできます。
「閑散としたペンション村」という、通常客にとってはマイナスの周辺環境も、ペット客にとっては、かえってプラスに働くわけです。
● 部屋がキレイ
最初、タンポポインの部屋を見て驚いたのは、部屋の掃除がいきとどいていることでした。
毛も落ちていないし、動物臭もしない。
言われなければ、そこがペットも泊まる部屋だと気づかないほどです。
大和さんは、「ペットOKなんだから掃除で手を抜いていいといことにはならない」と語っています。
こういう人は滅多にいません。
● 大型犬もOK
大型犬は毛が抜けるので、旅館によっては敬遠されます。
「ペットOK。でも大型犬はお断り」という旅館もあります。
しかし、タンポポインではそうした制限はありません。
● 大型犬と小型犬との部屋の割り振りが上手
大型犬のお客と小型犬のお客が同じ日に宿泊した場合でも、大和さんが部屋を上手に割り振るので、お客どうしでトラブルになりません。
● 大和さんの人柄の良さ
大和さんは宿泊客には、「タンポポインでは、おうちでワンちゃんと過ごしているときと同じように、くつろいで過ごしてくださいね」と声をかけているそうです。
ペット連れのお客様にとっては、涙が出るほど嬉しい言葉でしょう。
このように、タンポポインは、ペット客へのサービスレベルが、『もともと』最高でした。
しかし、大和さんはそれをホームページでは積極的にアピールしておらず、私には何とももったいないことに思えました。
さっそく大和さんに、「ペット大歓迎」のメッセージを前面に出しましょうと提案しました。
最初、大和さんは、「自慢するみたいでいやだ」と乗り気でありませんでしたが、しかし、どんな素晴らしいサービスでも、告知しないことには、集客増につながりません。
大和さんを説得し、「ペット歓迎」を前面に出すことで合意しました。
次に取り組んだことは、この「ペット歓迎」というコンセプトの「具体化」です。
4. ペット客なら、温泉がなくても景勝地がなくても、ペット向けサービスを充実させれば集客できる
ペット客の顧客満足とは何か?
ペット連れの宿泊客の顧客満足って何だろうと考えました。
「ペットが楽しそうにドックランで遊んで、宿泊客がその様子を写真に撮れて、米沢牛をたらふく食べることができて、切れ端をペットに分けてあげたりできれば、きっと満足してもらえる」
これがタンポポインの強みが生きて、かつ顧客が求めていて、かつライバル宿泊施設がマネできないコンセプトだと思いました。
この方針なら、改装不要、設備投資不要、立地不利でもOK、派手な観光資源は無くてもOK。
タンポポインの今ある良さを伝えるだけで、売上げ増が見込めます。
大和さんもこの考えに賛成してくれました。基本方針が決まったので、次はいよいよ具体的な行動に移りました。
具体的な行動
- タンポポインの良さの文章化
- 写真の撮り直し
- ホームページのファーストビュー強化
- 各部屋の具体的な紹介
- お客様の声の紹介
- 楽天トラベルへの働きかけ
- 楽天トラベル向けの写真の最適化
- 担当者と仲よくする
- 予約システムの導入
- 宿泊アンケートの実施
- facebookとツイッターの活用を始めた
- オプション商品の価格表のポップを作った
- 施設内の『安っぽさ』の撲滅
ホームページ関係
1. タンポポインの良さの文章化
ホームページは文字と写真で出来ています。施設の良さは「写真化」あるいは「言語化」を行わないと伝わりません。
まず「言語化」ですが、「焼き肉やってます」、「ステーキ出します」では話になりません。焼き肉なら部位はどこなのか、ステーキなら何グラムなのか、米沢牛なのかそうでないのか、米沢牛なら等級はどのぐらいなのか、詳しく書く必要があります。
ペット受け入れにしても、「ペットOKです」とか「くつろいでお過ごしください」とかではだめ、「大型犬OK」、「食堂へのペット連れ込みもOK」、「ペットとは同室で過ごせます」、「ペットグッズのレンタルあり」、「ペット預かり可」、「ペットのうんち処理機を設置」など、明確に表現します。
サービス内容をいちいち明確に言語化する。これを徹底しました。
2. 写真の撮り直し
「何だか楽しそう」、「泊まりたい!」という気持ちをかき立てるために、写真はとても重要です。
以前のホームページに載っていた写真は、正直、イケてませんでした。島田はプロカメラマンではありませんが、「販売促進のための写真」には自信があります。徹底的に撮り直しました。
「キレイな写真」ならばプロカメラマンの方が上手でしょう。しかし必要なのは「泊まりたくなる写真」です。
島田は、撮影前、撮影中、撮影後に顧客にヒアリングしながら、施設の強みが生きる写真を撮ります。強みを生かすために、設備のレイアウトを変更して撮ることもあります。こういうことはプロカメラマンよりも、島田の方が得意だと思います。
良い写真を撮るために機材にも投資しています。これまで、かれこれ100万円はつぎ込みました
3. ホームページのファーストビュー強化
ファーストビューとは、ホームページを訪問して一番最初に見える画面のことです。
何事も第一印象が肝心。良いファーストビューを作れれば、見込み客に「ここに泊まりたい!」と一目で思ってもらえます。
具体的にはファーストビューの中に、電話番号、宿の特長、予約特典、ホームページの主要メニューなど全ての情報をコンパクトに収めます。
主要メニューでは、「宿泊するために必要な情報」、すなわち「料理」、「部屋」、「予約」、「アクセス」、「お客様の声」などのメニュー項目を設けます。
タンポポインは、「ペット連れOK」という特色ある宿なので、その強みをアピールするための「初めての方へ」という項目も追加しました。
なおホームページでは、ファーストビューを含め「全てのページ」の末尾に、予約の電話番号など「宿泊アクションを起こすための情報」を書きます。これがなければ、せっかく来た見込み客が、ページを読んだけで帰ってしまいます。
そうさせないための「最後のツメ」となるのが、このアクション情報です。
4. 各部屋の具体的な紹介
ホームページ上では、タンポポインの各部屋の具体的な紹介を入れました。これには意外な売上げ増の効果がありました。
たとえば、冬のスキー客向けの「二段ベッドの部屋」。一見、ペット客には関係なさそうなので、私も大和さんも、最初は紹介しなくて良いと思っていました。
しかし、「必要不要を考えるのは我々ではなく、宿泊客である」と考え直して、この部屋も詳しく紹介したところ、それを見て「ぜひこの二段ベットのある部屋に泊まりたい」と言うペット客が現れました。
理由を聞くと、「一段目は大型犬が寝て、自分は二段目に寝る。それがダンドリがいい」とのことでした。
この他、ピアノがある部屋の写真を載せたところ、これを見て団体客から予約が入った例もあります(※ しかも、その後、リピートになっています)。
面倒がらず、どんな部屋も丁寧に紹介しておくものです。
5. お客様の声の紹介
「お客様の声」を多く掲載するようにしました。
ホームページ来訪者は「クチコミ情報」に関心があります。
ペット連れ宿泊客のリアルな声を載せれば、必ずプラスになると考えました。
ネットエージェント関係
1. 楽天トラベルへの働きかけ
撮り直したイメージ写真のデータを、楽天トラベルなどに郵送して、タンポポインの紹介ページに利用してもらいました。
ネットエージェントサイトは、旅館側が「やる気」を見せれば、好意的に対応してくれます。
2. 楽天トラベル向けの写真の最適化
従来は、楽天トラベルのフォトギャラリーにはしょぼい写真がわずか3枚。
まったくやる気が感じられませんでした。
旅館のマーケティングでは写真が重要です。
高品質の写真を大量に撮影し、大量に掲載しました。
楽天トラベルに写真を掲載する場合、500ピクセル四方の正方形でないとキレイに表示されないという制限があります。
写真はいちいちその仕様に直しました。
また写真をクリックした場合、拡大はされますが、説明文は表示されなくなります。
そのままでは見込み客に対して説明不足なので、写真そのものに「小さな説明文」を入れて、読めるようにしました。
こういうことは、細かいけれど大切なです。面倒がらず、やるべきです。
3. 担当者と仲よくする
楽天トラベルの担当者には、「頑張って販売したい」と伝え、仲よくするよう心がけました。
担当者を味方につけると、エージェントサイト側で情報をくれたり、無料の広告枠を教えてくれたりします。
ここで大事なことは「お願い営業」をするのではなく、「やる気を、態度で示す」ことです。
ネットエージェントも暇ではないので、積極的ではない旅館や、物乞いのようなお願いは、相手にしてくれません。
4. 予約システムの導入
従来のホームページには、ネット予約システムがなかったので、導入しました。
採用したのは楽天トラベルが提供する無料システムです。
自社ページに予約システムを導入するメリットは、
- 自社ホームページ経由の予約なら手数料が発生しない(利益が増えます)。
- 自社ホームページにプランを登録すれば、同時に楽天トラベルにも登録される仕組みになっている(手間が省けます)。
- 部屋数の在庫を統一管理できる(気が楽になります)、などです。
その他
1. 宿泊アンケートの実施
宿泊アンケートを元に宿泊施設の改善を図るのは、定石です。
しかし、タンポポインでは従来、アンケートを実施していなかったので、島田の方で、アンケートを作りました。
アンケートを有効活用するコツは、「褒められた強みは伸ばし、批判された弱点は無視すること」です。
お客が指摘するのは、往々にして「潰せない弱点」であり、これは無視するしかない。
そもそも弱点を潰しても、平均点的な宿泊施設になるだけで、差別化がはかれないですし。
2. facebookとツイッターの活用を始めた
ホームページは積極的に検索しているユーザーが来る場所なので、「検索していない見込み客」には届きません。それら潜在顧客を取りこむためには、facebookやツイッターなどクチコミメディアを活用するのが良いと考えました。
そもそもタンポポイン(大和さん)は、ツイッターやfacebookなどソーシャルメディアに向いています。そう思う理由は、次の3点です。
- 施設コンセプトがクチコミと相性が良い
「ペット連れOK」という施設コンセプトは、「本当のところはどうなの?」を伝えるクチコミメディアに向いています。たとえば「タンポポイン良かった。ペットOKという旅館は多いけど、あそこはオーナーもペット好きで本物だ」のようなクチコミが発生するといいなと思いました。 - 大和さんは宿泊客と仲が良い
通常の宿泊施設では、「宿泊客と大勢の仲居さん」という「一対多」の関係になりますが、タンポポインでは、大和さんと宿泊客は「一対一」の間柄です。これはSNSでつながるのに向いている関係性です。いったんSNSで繋がれれば、その後はタンポポインの情報を定期的に知らせることが可能になり、その後のリピートにもつながります。 - タンポポインは営業歴が長く、知り合い顧客が多い
過去に宿泊したお客様がフェイスブックで大和さんを見つけ、再び宿泊予約をしたという例があります。
3. オプション商品の価格表のポップを作った
宿泊価格はサービスレベルに見合ったものにするべきです。今が安すぎるのなら、値上げを検討するのも一つの手です。
しかし、ネット集客が主体の宿泊施設の場合、値上げは、慎重に判断しなければいけません。なぜならネットエージェントのサイトでは、旅館が価格の安い順で表示されることがあるからです。この場合、うかつに値上げすると表示順位が下がってしまい、予約減(売上げ減)を招く恐れがあります。
島田としては、今のタンポポインの場合は、値上げより先にとりあえず行うべきは、オプション商品の「ついで買い」を促進して、最終的な客単価を上げることだと考えました。
タンポポインで、オプション商品に該当するのは、「ペットシーツなどペットのグッズ類」、「飲み物類」です。しかし、従来は、これら商品のメニュー表がありませんでした。
これでは『飲み物売ってますか?』、『ペットグッズ売ってますか?』と大和さんに聞かないと価格が分かりませんし、そもそも、それを「売っている」ことすらわかりません。これでは、もったいないので、さっそくメニュー表やポップを作って展示しました。
効果は絶大で、特に飲み物については、ポップを出してから直ちに売上が増えました。販売している商品は、面倒がらず、もれなく告知するべきだと、あらためて実感しました。
4. 施設内の『安っぽさ』の撲滅
タンポポインは安さが売り物です。しかし、宿の設備に「安っぽさ」が感じられると顧客満足度は下がります。高級・高価である必要はありませんが、「安っぽい」のはマズイ。
安っぽさとは何か? それは「生活感」と「情報の古さ」であると島田は考えます。
従来のタンポポインでは、たとえば浴場で、洗剤が目に見える場所に置いてあり、生活感を感じさせていました。大和さんに頼んで、棚を設け、宿泊客から見えない場所に隠しました。
古いポスターが惰性で貼ってあったのも剥がさせました。古い雑誌も捨ててもらいました。
その他、施設内の「生活感」、「古ぼけ感」を感じさせるものを、大和さんと一緒にチェックし、逐一、改善しました。
今後の計画
今後の取組としては、次の4点を計画しています。
高価格の宿泊プランの導入
現在のタンポポインの宿泊料金設定は、サービスレベルに比べ「安すぎる」と思います。このままでは広告宣伝費やスタッフの教育費が捻出できません。
私の知る限り、ペット客にとってタンポポインの替わりになりうる宿泊施設は、山形県内に存在しません。ここに泊まりたいお客様は、宿泊費が千円や二千円増えても、それでも泊まってくださるはずです。
しかし、単なる値上げではお客様に申し訳ない。1000円値上げしたなら、提供する価値はその2倍、3倍!という気持ちを持つべきです。
これから大和さんと一緒に、「ある程度の値段はするが、満足度は最高級」と言う、本当の意味でのお得なプランを考案していくつもりです。
じゃらん への参加
現在、タンポポインでは、ネットエージェントは、楽天トラベルしか使っていません。今後は、じゃらんにも参加するつもりです。じゃらんは、年末年始やゴールデンウィークに強いという特長がありますし。
今まで、じゃらんへ進出しなかったのは、「これ以上お客様に来られても、私の体が持ちません」と大和さんに言われていたからです。
しかし集客コンサルタントである島田としては、やはりお客をもっと増やしたい。ここは、スタッフを増やすなり何なり、大和さんには決断していただかなければなりません。
売上は、大和さんがそれを増やすことを許可してくれれば、来月からでもすぐに増やせます。島田には強い自信があります。
SEO対策、PPC広告の導入
SEO対策やPPC広告は、現在、十分すぎる客数があるので実施していません。しかし、今後、スタッフを増員し、十分な教育を施し、顧客を受け入れる体制ができたならば、SEO対策とPPC広告は直ちに実施し、すみやかに売上げを増やします。
メールマガジンの発行
ホームページは、基本的には「待ち」の媒体です。タンポポインは、十分な魅力を持った宿泊施設なので、メルマガを発行して、積極的に告知していくのが得策です。
ガツガツとした売り込みメルマガを出す必要はありません。内容は「大和さんとペットたちの楽しい日常」で良いのです。大和さんが、自分のペットと楽しく過ごしていることが分かれば、自然と共感が得られます。それを読んだ人は、自分もペットを連れて、ここに泊まって、大和さんと同じようにペットと幸せに過ごしたいと思ってくれることでしょう。
先輩ユーザーからのアドバイス
― 再び、大和さんに質問です。現在、ハンズバリュー(島田)の起用を考えている旅館関係者に向けて、「先輩ユーザーとしてアドバイス」などあればお聞かせください。
島田さんのおかげで、本当にお客様がたくさん来るようになりました。とても嬉しく思うと同時に、「よりいっそう、サービスの質を向上させなければ」とも思います。忙しくなったせいで、お料理やお掃除の質が落ちたりしたら、わたし自身がくやしいですから。
やっぱり、人は増やした方がいいですね。落ち着いたらハローワークに行って募集をかけようと思います。
最近、うれしいことがありました。むかしタンポポインでバイトしていた学生さん二人から、「私が引退したら、もしよければ自分が後継者になりたい」みたいなことを言ってくれました。電話での何気ない会話なので、本気度は不明ですが、それでも嬉しいです。
タンポポインは、これからも「自分の家と同じようにペットと一緒にくつろいで過ごせる宿」でありつづけたいと思います。私はこれからも努力しますので、島田さん、どうか引き続き、よろしくお願いしますね!