皆さん、こんにちは!
ハンズバリュー株式会社の津名久ハナコです。
新型コロナウイルスの影響で厳しい時期を乗り越えた温泉旅館や飲食店などの事業者さまが、これから借入金の返済に向けて大きな挑戦を迎えようとしています。
返済が始まると、当然ですが現金の流出が増え、キャッシュフローに大きな影響が出る時期に入ります。
景気がまだ完全には回復していない中での返済開始は、多くの事業者さまにとって厳しい状況でしょう。
そんな中で、今回は財務戦略の一つとして注目される「DDS(Debt for Debt Swap)」についてお話しします。
DDSは、直訳すると「債務と債務の交換」という意味で、借金の性質を変えて資金繰りを改善する一つの方法です。
一見、専門的で難しそうに感じるかもしれませんが、実は温泉旅館業界を含むさまざまな事業で活用できる大きな可能性を秘めています。
DDS(Debt for Debt Swap)とは?
繰り返しになりますが、DDS、つまり「Debt for Debt Swap」は一見難解なフレーズです…が、文字通り「一方の借金をより条件の良い別の借金に置き換える」という意味でおおくは既往債務を劣後ローンに切り替えることを指しています。
既存の負債を負担の少ない新しい負債に置き換えることで資金繰りの抜本的改善を狙います。
特に、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済的な打撃を受けた事業者様にとって有り難い仕組みです。
さて、具体的には日本政策金融公庫では「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)」を提供しています。
公庫の劣後ローンを事例に紹介します。
公庫が提供している劣後ローンは、スタートアップ企業や事業再生に取り組む方々を対象に、財務体質の強化を図るための資金を提供する制度となっています。
事業者様を支援する目的があるため、非常に有利な制度になっていることが特徴です。
特に、融資後の初期3年間は年利0.50%という低金利が適用され、その後の金利も業績に応じて適用されるため、経済的な負担を軽減できます。
また、この制度による借入は、金融機関の資産査定上、自己資本とみなすことができ、法的倒産手続きの開始決定がなされた場合には、他の債務に劣後するため、他の債権者に対しても配慮されています。
この方法を活用することで、温泉旅館経営者は、厳しいキャッシュフロー状況の中でも、資金繰りを大きく改善し、事業の継続や再生を図ることが可能となります。
重要なのは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者様が、このような支援制度を積極的に活用し、事業を持続させることです。
温泉旅館でのDDSの活用法
実際の事例として、ある温泉旅館では、事業者自身が日本政策金融公庫に直接連絡を取り、支援の可能性を探りました。
日本政策金融公庫からは、追加融資の選択肢として、長期貸付または資本性劣後ローンの提案を受けました。ここで大切なのは、メインバンクとの密な相談と、実現可能で具体的な事業計画の策定です。我々ハンズバリュー株式会社も事業計画の作成をサポートしましたが、最終的には事業者自身が計画を日本政策金融公庫に説明する必要があります。
このプロセスにおいて重要なのは、社長自らが事業再生に対する強い意志と計画への深い理解を示すこと。第三者であるコンサルタントが代わりにプレゼンテーションを行うと、事業再生への真剣な取り組みが疑われる可能性があります。
したがって、事業計画の策定には事業者自身が積極的に関わり、実現可能性の高い計画を立てることが求められます。計画と実行の乖離を防ぎ、金融機関からの信頼を維持するためには、社長と従業員が一丸となって事業再生に取り組む姿勢が不可欠です。
我々もサポートはしますが、最終的には事業者様自身の取り組みが成功のカギを握っています。
DDSのメリット
- 金利負担の軽減: 金利が低い負債に置き換えることで、支払い利息の総額を減らすことができます。
- 返済条件の改善: 返済期間の延長や返済方法の変更など、より柔軟な返済条件に変更することが可能です。
- 経営の安定化: 負債の条件を改善することで、経営がより安定し、将来の投資や事業拡大の機会を持てるようになります。
まとめ
DDSは、温泉旅館業界において、資金繰りの改善や経営の安定化に寄与する有効な手段です。
ただし、この方法を活用するには、財務状況の把握と適切な計画が必要です。
我々専門家と相談しながら、自旅館の状況に最適なDDSの活用法を検討してみてはいかがでしょうか。
皆さん、温泉旅館経営の新しい可能性に挑戦してみませんか?
それでは、今日も良い一日を!
ハンズバリュー株式会社の津名久ハナコでした。