DDS(デット・デット・スワップ)とは?温泉旅館での活用法を実際に解説!

こんにちは、ハンズバリュー株式会社の新人コンサルタント、津名久ハナコです。

寒い冬も少しずつ和らぎ、春の訪れを感じる今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
私は最近、山形の美しい自然に囲まれながら、読書にふける休日を過ごしています。

そんな癒やしの時間も大切にしつつ、今日は温泉旅館の経営者やスタッフの皆さんに、経営状況を改善する手法の一つである『DDS』についてご紹介したいと思います。
この手法は、特に資金繰りに課題を抱える旅館にとって、有効な選択肢となるかもしれません。

温泉が大好きで、週末にはよく日帰り温泉巡りをしています。
先日訪れた温泉旅館で、経営者の方とお話しする機会がありました。
社長様もまた、新型コロナウイルス感染症拡大の需要消失時期に背負った借入の返済に悩んでいるとのこと。

そんな社長様の話を聞いていて、DDSのような経営改善策が、多くの事業者様にとって一筋の光になればと改めて感じた次第です。

今日はこのDDSについて、わかりやすく皆さんにお伝えできればと思います。

1. DDSとは?温泉旅館での活用法を簡単に解説!

皆さん、経営が難しい時、どうしますか?お金の問題はすぐに解決できないことが多いですよね。
特に、コロナ禍が終わり、温泉旅館をはじめ多くの宿泊施設が新型コロナウイルス感染症拡大の需要消失時期に背負った借金の返済に大変だと思います。
そんな中で、「DDS」という方法が、少しでも皆さんの力になればと思っています。

DDS、これは「Debt Debt Swap」の略ですが、難しく感じるかもしれませんね。
簡単に言うと、「借金の形を変えて、返しやすくする」という方法です。

これがどうして大切かというと、温泉旅館のように、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を直接的に受けた事業者様はコロナ禍が終わったといえ、返済が厳しいことに間違いないからです。
そこで、DDSを使って、返済のプレッシャーを少し和らげることを狙います。

2. DDSの基本的な説明

DDS、すなわち「Debt Debt Swap」は、直訳すると「債務債務交換」となります。

この財務戦略は、特に資金繰りに課題を抱えている事業者様にとって、一つの解決策となり得ます。
DDSは既存の借入金を別の形態の債務、具体的には「劣後ローン」へと交換することが多いです。
劣後ローンとは、その返済の優先順位が他の債務よりも低く設定されている借金のことを指します。

この劣後ローンへの交換がなぜ重要かというと、事業の財務圧力を軽減し、経営の立て直しに必要な時間を確保できるからです。

返済のプレッシャーが軽減されることで、事業者は経営資源をより戦略的に活用することが可能になります。
特に、新型コロナウイルス感染症拡大の需要消失時期を直撃した温泉旅館であれば、この期間を利用して施設の改善やサービスの向上、新しい集客プログラムの開発などに注力し、返済できる体質に変革する時間を獲得できるわけです。

さらに、DDSの活用は、財務状況の改善にもつながります。
劣後ローンへの交換により、事業のバランスシートが健全化され、将来的に新たな融資を受けやすくなる可能性があります。
財務基盤の強化により、金融機関からの信頼を得られるからです。

3. DDS導入時の注意点

さて、DDSは資金繰りを改善する有効な手段ですが、その適用には慎重な検討が必要です。
ここでは、注意すべき点を掘り下げていきます。

  1. 債権者とのコミュニケーション
    DDSの過程で最も重要なのは、債権者との透明で建設的なコミュニケーションです。
    事業の現状、直面している課題、そしてこれらをどう克服するかについての詳細な計画を用意し、債権者に提示する必要があります。
    信頼関係の構築だけでなく、将来のサポートを確保するためにも不可欠です。
  2. 資金の使い道の明確化
    DDSを通じて確保した資金は、事業の持続可能な成長に資するよう効果的に配分する必要があります。
    たとえば、客室のリノベーション、サービスの質の向上、マーケティング活動の強化など、リターンを最大化できる分野に投資することが重要です。
    大切なのは、各投資の目的と期待される成果を明確にし、それが経営戦略とどう連携するかを理解しておくことです。
  3. 長期的な視点の維持
    DDSはあくまで短期的な財務圧力を緩和するための手段です。
    ですので、DDSを活用することで得られる「時間」と「資金」を、事業の根本的な改善や成長戦略にどう組み込むかが鍵となります。
    効果的な経営改善策の策定と実行、新しい収益源の開拓、コスト構造の最適化など、持続可能なビジネスモデルへの転換を図る必要があります。
  4. 専門家のアドバイスの活用
    DDSの適用は複雑なプロセスを伴い、財務、法律、経営の各側面にわたる深い知識を要します。
    したがって、経験豊富な財務アドバイザーや法律顧問と連携し、彼らの専門的な見解を取り入れることが賢明です。
    適切な専門家のサポートを受けることで、リスクを最小限に抑えつつ、DDSのメリットを最大限に引き出すことが可能になります。

DDSの導入は、温泉旅館経営の一つの選択肢として魅力的ですが、その実施には慎重な検討と準備が求められます。

上記の点を念頭に置き、事業の将来にとって最善の決定を行ってください。

4. まとめ

DDSについての説明を通じて、温泉旅館の経営改善に向けた一つの可能性をご理解いただけたかと思います。

DDSは確かに、すべての経営課題に対する万能の解決策ではありません。
しかし、経営の再建や改善を目指す過程で、貴重な時間を確保し、資金繰りの圧力を軽減する手段として有効に機能する可能性があります。

重要なのは、DDSを活用することで得られる「猶予期間」をどのように使うかです。

この期間を有効に活用して、旅館のサービス向上、施設の改善、新しい集客戦略の策定など、持続可能な経営基盤を築くための戦略を練ることが求められます。
また、将来に向けた具体的な計画のもと、着実な実行に移すことが成功への鍵となります。

DDSを活用したとしても、借入金の返済義務が消えるわけではないことを念頭に置く必要があります。
そのため、DDSを導入する際には、長期的な視点を持ち、責任を持って計画を立て、実行に移すことが大切です。

当ブログ記事が、皆様の経営改善に向けた一助となれば幸いです。
経営に関するお悩みや質問がありましたら、いつでもお寄せください。
温泉旅館の事業者様がより良い経営を実現できるよう、サポートしてまいります。

本日も有意義な学びの時間をありがとうございました。
ハンズバリュー株式会社の津名久ハナコでした。

2件のフィードバック

  1. 現在、活性化協議会を通し事業DD・財務DD・不動産鑑定・ERも終了し中小機構再生ファンドスキムを進められていますが当初はDDSスキムで進める予定だったがのですが現在は中々DDSスキームでの再生は難しくなっているとのことです。
    私共としてはファンドスキムを使うと多大な資産の損失を伴わなければならず困っている状況です。詳細な内容がないとお答えできないとは思いますがDDSで再生している旅館は多数ありますでしょうか。

    1. 荒木様
      いつもお世話になっております。
      ハンズバリュー株式会社の代表取締役島田慶資です。
      詳細については、メールで回答させていただきました。念の為、一般論として回答させていただきます。
      DDSについてには、再生事例案件は旅館をふくめて多数あります。
      当社のお客さまにおいても金融機関様に数億円の劣後ローンを組んでいただきまして一息ついた方もいらっしゃいます。

      ファンドスキームについては、もっとも恐ろしいのは目先の金額だけではなく経営権がファンドから返ってこないことがあることです。
      現状、ファンドも活性化協議会も3年後には経営権が返ってくると言われていませんでしょうか。
      当社の経験で、ファンドが別の会社に売り飛ばしたケースもあります。ご参考にしていただければと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

週刊島田慶資

【週刊島田慶資】「志」から始まる価値創造

独り言コーナー / 島田の気になるニュース / 【今週の経済入門】物価高の本当の原因は? ~強い国づくりと私たちの未来~ / 【“勘”頭言】「志」から始まる価値創造 / 【実店舗に効く話】「既存客への値上げは難しい…」を解決!“計画的陳腐化”で賢く価格転嫁する方法 / 【偏集考記】「なぜ、SNSに頼らざる…ほか

続きを読む »
コンサルタントの支援日誌

【2024年版】中小企業で今すぐ活用できる資金運用表(エクセル提供あり)会社の生き残りを左右する『会社の資金』の取り扱い

こんにちは、ハンズバリュー株式会社の島田です。今回は、会社経営における「資金管理」について考えてみましょう。 キーワード:資金管理、キャッシュフロー計算書、貸借対照表、損益計算書、経営分析、資金運用表 この記事は随時更新

続きを読む »
週刊島田慶資

【週刊島田慶資 軽量版】会社のゴールはP/Lにはない?貸借対照表に眠る「本当の体力」の見つけ方

独り言コーナー / 島田の気になるニュース / 【今週の経済入門】最低賃金アップ、本当に中小企業は耐えられるのか? /【“勘”頭言】会社のゴールはP/Lにはない?貸借対照表に眠る「本当の体力」の見つけ方 / 【実店舗に効く話】「頑張ってるのに成果が出ない…」を解決!営業活動を”宝の山”に変える・・・ほか

続きを読む »
お知らせ

未来の“稼げる旅館”へ。観光庁「高付加価値ガイドライン」認定取得 完全支援セッション

インバウンドの本格回復、旅行スタイルの多様化――。 旅館業界を取り巻く環境が大きく変化する今、「いかにして顧客単価を上げ、選ばれ続ける存在になるか」は、全ての経営者様にとって喫緊の課題ではないでしょうか。 その答えの鍵を

続きを読む »
お知らせ

社長の「どんぶり勘定」を卒業。あなたの会社を「売上が増えてお金が残る経営」に変える、実践的 事業計画策定セッション

「売上は上がっているはずなのに、なぜか月末にはお金が残らない…」 「銀行から融資を受けたいが、説得力のある事業計画書をどう書けばいいか分からない…」「未来への漠然とした不安を、確かな自信に変えたい…」 多くの経営者が、こ

続きを読む »
これが最後のページです