顧客インタビュー|温泉民宿 本間義一

嫁いできてから33年、厳しい経営が続いていましたが『旨い魚を腹いっぱい』を打ち出して売上3割強アップ。初めてのボーナスが出ました。

ハンズバリュー お客様に聞く

鶴岡市由良の民宿「本間義一」。2016年3月、ハンズバリューから提案された売上拡大策に沿って、ホームページをリニューアルしました。どんな売上拡大策だったのかなど、女将の本間美香さんに詳しく伺いました。

目次

「温泉民宿 本間義一」のご紹介

− まず、「温泉民宿 本間義一」の紹介をお願いします。 

創業昭和36年、由良温泉と地元庄内の魚料理が特徴の温泉宿。客室数は8室です。屋号の「本間義一」は、先代であり、現館主の父に当たる本間義一にちなんでつけたもの。今は、先代の妻である大女将、その息子夫婦である館主と女将の私3人で宿を切り盛りしています。

「温泉民宿 本間義一」
 −「本間義一」では、つなぐホームページに具体的にどういうことを依頼されましたか。

「どうやって売り上げを上げるか」という提案と、業者さんにつくっていただいたものの、ほとんど”ほったらかし”だったホームページのリニューアルをお願いしました。ホームページのほうは写真撮影と文章作成の代行も頼みました。

「本間義一」館主の本間 義彦さん

「それなりに忙しいのに、売り上げは今一つ」

– つなぐホームページ利用前の宿の状況はいかがでしたか。

それなりに忙しくはしていたものの、、経営は厳しかったですね。
夏は、由良海岸で海水浴を楽しむお客様に、大勢お泊りいただいていました。ただし、お客様の多くは、一番安いランクの宿泊料金でお泊りになっていたので、忙しい割には、数字は今一つ。

冬場も、地元のお客様中心に日帰りでのご利用が多く、忙しい時期でした。お客様のお目当ては、庄内の郷土料理でもある当館名物『寒ダラ汁』。漁師料理をつくって60年以上の大女将が、由良のブランド魚”由良鱈”でつくる寒ダラ汁は美味しいと評判だったんです。
だけど、冬は、遠方から来られる宿泊のお客様は、ほとんどゼロ。都会の方など、雪道に不慣れな方は、足がこっちに向かなかったんでしょうね。日帰りでのご利用は、宿泊ほどの売り上げにならないし、結局冬も、忙しい割には儲かりませんでした。

海水浴、寒ダラ汁のお客様は、7割ぐらいがリピーター。他には、磯釣りや加茂水族館、青森など北の方へ行かれるお客様に、うちの宿を使っていただいていました。

銀行さんから「経営が悪い」「収入を増やせ」と言われたり、銀行さんの連れてきたコンサルの方から宣伝プランを提案されたりしましたが、「今の状態で宣伝にお金をかけても」と見送っていました。そんな中、銀行さんと銀行さん紹介のコンサルの方を介してお会いしたのが、島田さん(つなぐホーム―ページ代表)だったんです。

「83歳の大女将と50代の館主夫婦でもできる」売上拡大策

− 売上拡大策などを依頼するに当たり、出された条件などがあればお聞かせください。

「毎月の客数のノルマを達成して、売り上げアップ」みたいな方法はムリですって、お伝えしました。うちは、83歳の大女将と50代の館主夫婦がやっている宿。「ノルマ○○人達成!」なんて毎月続けたら、体がもちません。私たち3人でもムリなく取り組めることを条件に売り上げアップの方法を考えてもらうこと、集客は、これまで通り楽天トラベルとホームページ経由でいくことをお願いしました。

− 「83歳の大女将と50代の館主夫婦でもできる」売上拡大策。つなぐホームページから、どんなものが出てきましたか。

「本間義一」を「旨い魚を腹いっぱい食べられる宿」、「コスパのいい宿」として打ち出して売り上げアップを目指すことと、そのための宿泊プランやおススメメニューなどを提案してもらいました。ホームページも、「旨い魚を腹いっぱい」路線でリニューアルしようとのお話でした。

それまで「本間義一」では、特に宿泊プランなどは設定しておらず、宿泊料金は1泊2食付き6500円~8000円でした。提案された宿泊プランは、ボリューム満点の地魚料理を楽しめる『庄内浜のお魚腹いっぱいプラン』8000円~9000円をメインに、『腹いっぱい』より安い料金の『家族連れ歓迎お子様歓迎プラン』、『素泊まりビジネス応援プラン(朝食付き)』など合計5つ。日帰りプランは宴会プランなど4つ。

メインの『お魚腹いっぱいプラン』は、以前の宿泊料金の時の料理より、お刺身を多めにするなど、ボリュームアップして「この料金で、これだけ旨い魚がこんなに食べられる!」とコスパの良さが伝わる内容にしようとのことでした。
うちの宿は、魚市場に出向いて魚を選んでますし、市場には出ないような珍しくて美味しい魚も手に入るんです。大女将が、そうして仕入れた魚の美味しさを一番活かせる料理にして、お客様にお出ししています。島田さんとの面談で、こんなことをお話ししたので、「旨い魚を腹いっぱい」というアイデアを思いつかれたみたいです。

「『今までより1500円も高い宿泊プラン』って大丈夫?」

− 「旨い魚を腹いっぱい」というコンセプトや、柱になる『お魚腹いっぱいプラン』などの宿泊プランを、どう思われましたか。

ムリなくできそうだなって思いました。うちには、魚料理の腕前に定評がある大女将がいる。大女将は83歳ですが、お客様のために包丁を握っている時は元気なんです(笑)。『お魚腹いっぱいプラン』については、いつも出している料理のボリュームを増やすだけだから、そう手間はかからない。食材費のアップ分も負担にならない程度。ただ、『腹いっぱいプラン』は一番安い料金でも8000円で、以前の宿泊料金より1500円も高い。最初は「この料金、大丈夫?」と思いました。

− 不安を感じた1500円アップの『腹いっぱいプラン』を最終的に採用されました。なぜでしょう。

以前の宿泊料金の時は、「日本海の美味しい魚をたっぷり食べたい」というお客様には、追加料金をいただいて『季節のお刺身』をお付けするなど、オプションで対応していたんです。島田さんが、このことを指摘されて「追加料金を支払っても『旨い魚をいっぱい食べたい需要』があるってことですよね。その需要を見込んで、追加料金分を先に支払っていただくつもりで高単価の『腹いっぱいプラン』をつくりましょう」とおっしゃいまして。なるほど、そういう考え方もできるな、じゃあ、やってみるかと思ったんです。

追加注文狙いの”おススメメニュー”と「厳しい冬」の集客策

− それでは、宿泊プランと合わせて提案されたおススメメニューは、どういうものでしたか。

まずは、庄内の地酒を飲み比べできる『利き酒セット』500円と、楽天トラベルの口コミでも美味しいと評判だった『イカの塩辛』200円。民宿ならではの、お手頃価格にして、これらをホームページや楽天トラベルのおススメ情報に載せ、追加注文を狙おうという作戦でした。

『利き酒セット』
『イカの塩辛』
 −「本間義一」では、つなぐホームページに具体的にどういうことを依頼されましたか。

「どうやって売り上げを上げるか」という提案と、業者さんにつくっていただいたものの、ほとんど”ほったらかし”だったホームページのリニューアルをお願いしました。ホームページのほうは写真撮影と文章作成の代行も頼みました。

夏の海水浴客に配ったパンフレット

「旨い魚を腹いっぱい」路線でホームページをリニューアル

ホームページのリニューアルは、どう進めましたか。

最初に、出されたのが「『本間義一』の強みと弱みを40個出す」宿題。ホームページづくりに活かすためということでした。

館主の主人と2人で「強みって、海水浴だよのぉ。近くさ、水族館あって。でも『本間義一』(自体)の強み、何ある?」って悩んでいたら、島田さんに「『本間義一』さんは、駐車場無料でしょ。それ、強みでしょ」って言われて。ああ、そうか、自分たちは当たり前だと思っていることも、外から見ると強みなんだと気づきました。
宿のお風呂は由良温泉源泉掛け流し、海水浴場まで徒歩3分、無料送迎バス…。うんうん言いながら頑張って書き出しました。見逃していたウリが分かって良かったです。

それから、最初にお話ししましたようにホームページ用の写真撮影、文章作成については、代行サービスを利用しました。
特に文章の方は、あらためて私たちの話をじっくり聞いていただき、まとめてもらったんです。
できあがった原稿は、間違っていないか、大げさな表現になっていないか確認しながら仕上げていきました。

− 完成したホームページは、いかがでしたか。

細かい点まで話し合ってつくったので、「本間義一らしさ」がよく出てるなって思いました。

ホームページでは、大女将が、その時の天気や気温なども見ながら、その日もっとも美味しい魚料理を考え、つくることや、料理には庄内の旬の地魚を使っていることなどを紹介。合わせて、魚介を由良漁港の競りで選んでいる様子、新鮮な魚や美味しそうな魚料理の写真をたくさん載せたので、「旨い魚を腹いっぱい」楽しめる宿だと打ち出せた感じ。

また、苦労して書き出した宿の強みの中から、お客様にとってメリットになることを選んで、「『本間義一』10の強み」としてホームページに掲げました。うちの宿の良さが伝わるホームページになりました。

実は、すごくステキに仕上がったから、お客様から「実際は(ホームページと)違うじゃん」って言われないために、これまで以上に一生懸命仕事をするようになったんです。これも、売上アップにつながっている気がします。

今までより1500円高い宿泊プラン、常連客の反応は?

− さて、現在、2016年3月のホームページリニューアルから約8カ月経過した11月半ばです。リニューアル後の変化についてお聞かせください。

これまでのところ、お客様全体の7割ぐらいが、『庄内浜のお魚腹いっぱいプラン』を選ばれています。

当初、気になっていたのが、海水浴リピーターの方たちの反応。海水浴のお客様は常連の方がメインなので、こうした方々が従来の宿泊料金より1500円アップの『腹いっぱいプラン』にどう反応されるか、ちょっと心配だったんです。でも、ふたを開けてみたら、リピーターの方の中で、20代~40代の若いお客様は『腹いっぱいプラン』を、それ以外のお客様の多くは、お手頃料金の『家族連れ歓迎お子様歓迎プラン』などを利用してくださいました。

海水浴が目的のお客様でも、美味しいお魚をたっぷり味わえるということなら、やや高めの料金でもお支払いいただけるんですね。「せっかく日本海まで来たんだから」と、財布のヒモも緩むみたい。ちょっと驚きでした。ホームページに使った美味しそうな魚料理の写真の力も、大きかったと思います。

銀行からも「いいね!」

− 新たに取り入れたおススメメニューについての客の反応は、いかがでしょう。

地酒を飲み比べできる『利き酒セット』500円が、お酒好きの方に好評です。飲み比べて気に入ったお酒を追加で注文していただけるので、客単価アップにつながっています。
オプションメニューの『寒ダラ汁食べ放題』は、冬本番を迎えるこれからの季節に効果を発揮してくれればと期待しています。

楽天トラベルの「本間義一」のページを、ホームページに合わせて変更したおかげか、例年ですと暇になる9月半ば以降でも、楽天経由のメール、電話での予約や問い合わせ、魚釣りや、北へ向かう途中のお客様などのお泊りが増えています。

− 昨年の3月から11月半ばと比べて、今年の同時期の売り上げはいかがですか。

売り上げは3割強アップ。嫁いできてから33年、初めて夏のボーナスをいただきました(笑)。「収入を増やせ」と厳しかった銀行さんからは「業績いいね」と褒められましたよ。

楽天トラベルのページも 「旨い魚を腹いっぱい」路線に

「息子に暖簾をわたす」夢

− 今後の計画をお聞かせください。

実は、うちには、海外で料理の修行中の息子がいるんです。私は「本間義一」の暖簾を、息子に受け継いでもらえればと心ひそかに願っていました。今までの収入では難しそうでしたが、今年の収入増で可能性が見えてきました。主人と2人で頑張って返すものは返して、息子が自分から「継ぎたい」と言ってくれるぐらいまで持っていきたいです。

女将さんたちへのメッセージ

− 本間さんのような、小さな民宿の女将さんたちにメッセージなどお願いします。

宿に嫁いできたからには、暖簾を守って次の世代に引き継げるように頑張っていきましょう。ホームページなどネットを使えば、道が開けることもありますから。

ハンズバリューへのメッセージ

− ハンズバリューへのメッセージもお願いします。

島田さん、『庄内浜のお魚腹いっぱいプラン』も、ホームページもとても良かったけれど、本音でじっくりお話しできたことも良かったです。経営について、いろいろ教えてくださったこと、感謝しています。いい方に巡り合えたと思っています。ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

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